|
キュートな女性だ。よく笑い、よく喋り、表情がくるくる変わる。本作が映画初出演となるジェニファー・カーペンターだが8歳の時に初舞台を踏み、女優としてのキャリアは充分。舞台で共演したローラ・リニー(エリン・ブルナー役)がスコット・デリクソン監督にジェニファーを推薦、エミリー役を射止めることになった。
「オーディションは全部で3回受けたの。どうしてもこの役をやりたかったから早く決まってほしいという気持ちで一杯だった。だか
ら出演が決まったという電話をエージェンシーから貰った時、マネージャーに聞いたの。『いま、思い切り叫んでいい?』って。」
|
|

難役エミリーに挑んだジェニファーだが、実は彼女、ホラーは大の苦手だとか。
「『エミリー・ローズ』は『エクソシスト』と比べられることがあるけど、見たことがないの。恐らくこれからも見る機会はないと思
う(笑)。でもそれでいいと思ってるわ。監督は『これまで誰も見たことがないような映画を作りたい』と話してたから。おかげで先入観なく撮影に入ることが出来たしね。役作りについても、これまでに製作されたホラー映画ではなく、沢山の文献を読んでイメージを膨らませました。それから鏡の前で自分の身体がどんな風に曲がるかをチェックして、より柔軟な動きが出来るようストレッチをしたり。撮影中長時間叫んでいると本当に失神しそうになったり、体力的に辛い面もあったけど、元々ランニングをしたり体を動かすことが大好きなので、体力には自信があったの。ただ、ひとつだけ迷いがあった。それはエミリーが本当に悪魔に憑依されたのか、それとも病気か何か、他に原因があったのか、ということ。演じるうえで、私自身どちらかに決
めることが出来なかった。でも感じたの。迷ってるままでいいんじゃないかって。そう気付いてから役作りもよりクリアになったわ。」
悪魔に取り憑かれたエミリーの叫び、表情、体の動き。どれを取ってもこれまでに見たことがないような迫力だ。しかし演技派ジェニ
ファー・カーペンターの真骨頂を発揮しているのは、まだ悪魔の存在に囚われていない、幸せだった頃のエミリーの姿だろう。ほんの数秒のシーンではあるが、完璧に演じることにより、その後の惨劇が見事に引き立った。

「確かに、納屋での“悪魔祓い”のシーンも大変だったけど、それ以上に幸せなエミリーを体現するのは難しかった。ほかのシーンは
オーバーなリアクションが必要とされたのに、このシーンだけは抑えた演技が要求されたから。たった1シーンだけど、最も大切な要素が詰まってるのね。だからこのシーンの撮影は、いつも以上にナーバスになってたと思う。出来上がった映画を見る時も、どんな風に仕上がっているかがとても気になった。結果?ハッピーな気分で演じることが出来たし、それがスクリーンからも伝わってるんじゃないかしら。」
ホラー映画の撮影現場では、怪奇現象はつきものだと言われている。そこで日本では、撮影時の安全を祈願してお祓いをしてもらう。そのことを話すと、ジェニファーは・・・

「へぇー、そんな慣習があるのね。知らなかった!この映画を撮影するときは、何もセレモニーは行わなかったわ。実は撮影中、自宅
の居間のステレオが突然鳴るという出来事があったの。それだけでも驚きなのに、流れた曲がパールジャムの『I'm still alive(俺はまだ生きている)』。ホントに怖かった!!この映画は人間の尊厳を問うドラマ。いろいろな捉え方があると思うけど、私はこの映画のエンディングが最もフェアだと思う。恐怖に絶叫して、見終わった後はじっくり考えてみてもらえたら...。」
いまやってみたい作品はコメディだと話すジェニファー。与えられたチャンスに挑戦していきたいと意欲的だ。その一方で、友人たち
とテニスを楽しんだり活発な一面も見せる。今回の来日では、日本を満喫した様子。歌舞伎を見たり、ショッピングを楽しんだり...。何を買ったのか聞いてみたら「洋服!!とにかく沢山買ったわ。」と、茶目っ気ある笑顔を覗かせた。その姿は、ごく普通の26歳の女の子だった。
(取材・文:八雲ふみね)