パッチギ!
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井筒和幸監督 インタビュー
井筒和幸監督
また、キャラクターだけでなく劇中に登場する数々のエピソードも膨大な取材に基づいて構築されているのがこの映画の特徴だ
「ケンカのシーンが何回かありますよね。ああいうのはすべて実話を並べているんです。鴨川挟んで戦ったのもホントだし、バスをひっくり返す事件もホントの話。川を挟んでこっちに日本人の集落、あっちに朝鮮人の集落があるのもそのまま。全部取材から出てきた本当の設定だからリアルに感じると思うんです。取材から出てきたのがものすごい量でしたから、最初の脚本は膨大な長さになってました。書き過ぎた言うてね(笑)。」

取材を重ね、徹底的にリアリズムにこだわった脚本。そこに描かれた物語をより輝かせているのは、若手出演者たちのみずみずしい演技とも言える。しかしそこには大変な苦労もあったという。
「リアルな話だからこそノースターでいこうと決めました。この映画で一番困ったのはやっぱり言葉ですね。朝鮮語と京都弁。その2つを混声で喋る場面もあるから、東京の若い子にとってはまさに地獄ですよ。でも在日の人たちはちゃんぽんで喋るので。そこがリアルにならないと許せなかったんです。おまけに本気でケンカしまくる劇やし…。
地獄の撮影や(笑)。ケンカのシーンも難しくてね。殺陣師がつける当たり前のケンカなんていうのは世の中にないから。みんなで試行錯誤しながら、わずか3〜4分のシーンを撮るのに2日半かかったりして、もう大変でした。」
 

2か月以上の撮影を経て完成した今作。パッチギとはハングル語で頭突きを意味する。
文字通り劇中にはパッチギも飛び出す高校生同士の激しいケンカが何度も登場し、この作品を若者の青春映画と思う人も多いだろう。
しかし終盤に近付くにつれ、監督がこの映画に込めた真のメッセージが見えてくる。
「『パッチギ!』は完璧な反戦映画です。僕らがなぜ時間をかけてケンカのシーンを撮ったかというと、戦わないでっていうことを訴えてるんです。かつての『ガキ帝国』では、映画を観た若い世代が「ケンカをしたくなった」と言ってたいう話もありましたけど。
もしかしたら、『パッチギ!』でもそういう現象は起こるかもしれません(笑)。でも終盤のシーンを観ると、そんなに血湧き肉は踊らないんですよ。逆に、戦いっていうのは本当に無惨だなと悲しくなってくる。
『パッチギ!』は僕らの精神的“頭突き”ですよ。平和を望む映画。青春だからケンカしろとか、そんなメッセージを言ってるわけやないんです。」

(取材・文:片貝久美子 / 撮影:田中純一)
井筒和幸監督
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