「THE JUON/呪怨」

清水崇監督 ときには人気のない病院の階段や、昼下がりに電気のついていない薄暗い部屋だったり。作品中に登場する、恐怖をあおる場所は日常生活の中で発見されてきた。
「やはり恐いものが出てくる場所には、それなりの雰囲気がある。人気がなかったり、薄暗かったり。そういった湿度は、日本固有のものなのかもしれません。僕自身は日本家屋の階段等が好き(怖い)ですね。日本家屋の、階段を上ったときに広がる吹き抜けになる場所、あそこは僕にとって昔から不思議な空間でした。何もない空間。でも、構造上どうしてもできてしまう意味のない空間。日本家屋そのものや日本人の気質も、民族性のせいか、なんとなくジトジトしていますよね。」
恐怖を感じさせるにはリアル感が不可欠だが、ハリウッド・リメイクの話がきたときには、より恐怖をあおるために、CGでの演出案も飛び出したという。しかし、それではジャパニーズ・ホラーの長所が消えると監督は語る。恐怖を感じさせるにはリアル感が不可欠なのだと…。
「「ジトジト」というキーワードから連想できるように、水っぽさというのは恐怖につながる重要な要素です。だから、オリジナルの持つジトッとした感覚を大事にしてほしいというのがサムの依頼でした。でも配給元のプロデューサーのほうからはいろいろ言われるんですよ。「CGを使うともっと恐くなるんじゃないか?」とかね。「それをしちゃ、ダメなんだ」と譲りませんでしたけど(笑)。CGを使うことでリアリティをなくしたくはなかった。派手には見えても恐くはなくなりますからね。ここが、日本とアメリカの恐怖へのアプローチの違いなんでしょう。日本だと、限られた予算の中で、限られた時間の範囲内でどうやったらより恐くできるかと考える。ホラーで言えば、それが恐さにつながるこだわりに化けていくんですよ。それは、今まで日本人自身も気付かなかった日本発の娯楽的な武器のひとつと言えますね。」
清水監督は、リメイクながら、昔ながらのファンも満足させたいと考えていた。それは伽椰子と俊雄が体験した、今までのシリーズでは暴かれることがなかった過去の惨劇だった。
「今回は、ディレクターズカット版のほうで、今までオリジナルのシリーズでもあかさなかった部分を少しづつ入れているんですよ。例えば「ア…アア…ア…アアア」という伽椰子の声。伽椰子はどうしてあんな声で登場してくるのか?とか、そのあたりの起因について少し触れているんです。それはもともと「こういうことがあって、こういう殺され方をしたからこうなっているんだ」と僕が演出上役立てるように作っていた裏設定だった。それをハリウッドスタッフに説明したところ、彼らは理屈とか説明が好きな人たちなので、「ぜひリメイク版では描いて欲しい」となって。だからシリーズを通して観てくれている人も、そういったところで楽しんでもらえたら…と思っています。単なるリメイクではなく、オリジナルで謎だった部分を使って、違う側面も見せたかったんですよ。」

(取材・文:新田哲嗣 / 撮影:田中純一)
清水崇監督

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