小橋建太と言えば、妥協を許さない男。GHC選手権(NOAHにおける最高権威のチャンピオン・ベルト)獲得へ向けた練習では、サウナへ1時間も籠もってウェイトレーニングをした経験もありますが(その甲斐あって、ベルトを獲得)。何故、そこまで自分を限界まで追い詰めていくのですか?

「サウナでの1時間特訓ですが、リング上はまばゆいライトが高い熱を発するぶん、ただでさえ熱い場所なんですよ。まして、TV収録用のライトが更に加わったり。その時期が真夏だったりしたら、それこそ50度弱の熱さになることがある。そうなると、どうしてもリング上の空気が薄くなっていくじゃないですか。その薄い空気の中を想定した練習ということで、あのサウナ特訓は実践したんです。
 ただ、自分を追い詰めてくという面では、どうだろう。確かに“逆境へ向かってゆく”というのは、自分のポリシーではありますが。まだまだ現状でも、甘いと思ってるんですよ。よく周りの人からは、“自分に厳しすぎる男”と言われることもありますけど。僕自身は、自分に妥協することが許せない性格だからこそ、納得いくまで突き詰めてるだけなんですよね」

4月にGHCのベルトを初防衛。まさに今、NOAHの頂点に立っているわけですが。
そんな小橋建太という男でも、“悩み”というのはあるんですか?

「悩んだり行き詰まることって、昔から…いや、今でもすごく多いんですよ。それこそ、自分自身この先どうして良いのかわからなくなってしまうことも、ホント多々ありますし。でも、一度“道を極めよう”と思ったら、とことんやるしかないじゃないですか。
 いくら壁にブチ当たろうと…たとえその答えがその時は見つからなかったとしても…そこであきらめてしまったら、それまでの努力の意味がなくなってしまうし。何よりも、あきらめてしまう自分自身が許せない。だからこそ自分の場合は、たとえ答えが見えてなかったとしても、とにかく前へ突き進むようにしてる。そうすることで、何時しか壁を乗り越えたり、悩みも解決出来てたりすることも多いですし。
 でも同時に、前へ進めば進むほど、また新たな壁や悩みも増えていくんですよね。結局は、何時まで経ってもその繰り返しなんですけど。だけど、一つ一つ壁を乗り越えるたびに、自分がその都度、高い位置へ進めてるのもわかる…。きっと、いっぱい悩んだり苦しむことって、自分を成長こさせてく上では大切なことなんです。だからみなさんも、多いに悩んだり苦しんだ方がいいと思いますよ」

小橋建太さんにとって、テーマ曲とはどんな意味を持つものなんですか?

「じつはこの『BLAZIN』を、作曲したJay Graydon や、アレンジャーのK-A-Z さんへお願いするときに、“自分のプロレスの試合には喜怒哀楽たくさんの感情があるし。僕の試合を見たファンの人たちも、そこを感じてくれている。だからこそ、この『BLAZIN』にも〔喜怒哀楽の表情〕を入れて欲しい”とお願いしたんですよ。
 プロレスラーにとってテーマ曲というのは。まして僕にとっては、“自分のプロレス”を表すとても大事なものなんです。入場したときに、ファンのみんなと一体化出来るとても大切なものであり。登場するときに、自分の気持ちをピシッとさらに引き締め、闘士を燃やさせるものであり。そして何よりも、印象深い試合を乗り越えるたびに、自分のテーマ曲も僕と一緒に大きくなっていくんですよ。それくらい大切なものだからこそ、自分が望む“喜怒哀楽”が作品の中へ描かれるまでは、OKの返事も出しませんでした」

発売されたばかりの最新テーマ曲『BLAZIN』の作品の中で、「つねに進化し続けていく」と語ってましたよね。
その言葉が強く胸へ響いてきました。

「『BLAZIN』は、自分でも本当に納得のいく“楽曲”として完成した。でも現段階では、まだまだ半分の出来なんですよ。それは何故かと言うと、自分がいくつもの試合でこの曲を背景にしながら登場し、そこで結果も残しつつ、一つ一つの試練を乗り越えていく。その乗り越えてゆく姿を、ファンの人たちも一緒になって応援しながら、ともに思いを分かち合っていく。まして試合に勝てば、この『BLAZIN』が場内中に再び流れますからね。そうやって一つ一つの歴史を積み重ねてゆくたび、このテーマ曲も同じように歴史を重ね。この『BLAZIN』が流れるたびに、拍手や歓声、小橋建太へのコール(のタイミング等)が生まれたりなど、ファンの人、一人一人の中へ深く浸透していく。そうなってこそ、本当の意味での“プロレスのテーマ曲”としての形が出来上がっていくものなんですよ。
 だからこそ、その歴史が増えれば増えるほどこの『BLAZIN』が、歴代のテーマ曲を越えてゆく存在にもなっていくと僕は思ってるし。そう信じながら、いつも試合へは向かってます」

5月2日の東京ドームでは、敵陣である新日本プロレスの興行へ参戦。しかも新日本のトップ選手である蝶野正洋選手と、GHCのベルトを賭けて戦います。まさに、プロレス史に刻まれる新たな歴史が、この日、大きく胎動する予感を強く覚えてしまいます…。

「GHCの初防衛戦の相手となった本田多聞選手の場合、何人もの挑戦を表明した
相手をすべて倒したうえで、チャンピオン・ベルトへの挑戦者として勝ち上がってきた。そうやって何もない所から…“己の覚悟”を魅せながら勝ち上がってきた相手だからこそ、一緒に試合をやることで、ファンの心を揺さぶる試合が出来ると思ったし。実際にそうなった…。それくらいベルトの価値というのは重いものですから、そのベルトを賭ける意義のある人と試合をやらなきゃ、防衛するにも意味がないんですよ。
 その点、今回の5月2日・東京ドームでの対戦相手である蝶野正洋には、その意味を感じると言いますか。蝶野正洋という男が、新日本の看板を背負い、その覚悟を決めて自分と戦いたいと言ってきたわけですから。こっちとしても、十分その覚悟を受け止め望むつもりですし。二人とも団体の看板を背負ってるぶん、お互いに絶対負けられない意地がある…。
 でも僕は、絶対にドームでの試合に勝って、5月9日から始まるNOAHの次期ツアーには、 GHCのベルトを持って凱旋したいと思ってますし。そうやって大きな舞台を経験することが、この『BLAZIN』のためにもなると信じてます。まして戦いに勝ち、ドームで2回『BLAZIN』が流れるって、やっぱし気持ちいいじゃないですか」