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大黒摩季
Excite:まず、女子ホッケーチームのサポートソングを作ろうと思ったきっかけから聞かせていただけますか。

大黒:掃除をしながらお茶の間で普通にテレビを観てたんです。正に主婦タイムの午前中にNHKの「生活ホットモーニング」という番組を。そうしたら、女子ホッケーチームが財政的に厳しい状況の話をやっていて。なかでも、その中の加藤明美さんという選手がチームの中で一番、お姉さんなんですが、私とほとんど同い年で、今回、4度目の五輪に挑戦するということを話されていて。そんな彼女を含めたホッケーチームが、せっかく五輪行きが決まったというのに資金不足、なおかつ遠征へ行く費用を自分たちでアルバイトをしていると言っていたんですよ。しかも、普段も協会費がなくて、合宿するのも学校を借りて、みんなで飯炊きをしていると言っていて・・・。(関係者の方に)聞いたら国からの強化費は、サッカーの180分の1らしくて。そのようなテレビ番組を観ている内に、なぜかデビュー当時のことが浮かんできたんです。私は最初、バックコーラスをやっていたんですね。好きだった訳じゃないし、人の後ろでなんか歌うものかと思っていたのに、音が聴けるし、練習にもなるからということで、苦汁の選択でコーラスをやりながら、デビューのチャンスを待っていたんです。ただ、コーラスの仕事もいつもある訳じゃないから、スーパーでもバイトをやってました。そして、デビューが決まっても、すぐに食べられるようになる訳じゃないし、ポンッと印税が入っては来ない。それにデビューの話が盛り上がって、やることもてんこ盛りで勉強なんかもいっぱいしなくちゃいけないし。しかも、食べるためにバイトもしなくちゃいけなくて・・・。ホント、その頃の切なさといったらない訳よ!

Excite:大黒さんでもそんなことがあったとは、びっくりですね。

大黒:そういったことなんかが、テレビを観ていたら急にそんなことがフィードバックしてきて。だから、ホッケーチームには余計にがんばって欲しいなあと思いました。そして、食べるためにバイトなんかしないでと。だって、五輪っていったら、世界で一等賞を取るためにがんばる訳だし、そんな時にバイトしている場合じゃないじゃない? だから、「五輪協会は何をしてるの?」っていうぐらいの気持ちになりましたね。まぁ、協会も全部が全部って訳にはいかないって所があるとは思うんだけど。そのようなホッケーチームの現状がオーバーラップしちゃって、なんか、彼女たちにエールを送ってるんだか、昔の自分にエールを送ってるんだか、分かんなくなって、気持ちが盛り上がってきちゃって・・・。しかも、加藤さんが歳も近いのに、諦めないで突き進んで行く姿っていうのが、とっても美しくて。私もレコード会社を移籍して、事務所も独立して、ホント、ゼロどころかマイナスから始まって、やっとペースがつかめてきた所です。それから結婚もして、さあ、これからどうしようってなった時に、なんか自分でこれじゃいけない、育っていかなきゃと思って・・・。このまま優しいバラードとかを歌いながら、だんだんお母さんになって、音楽が尻切れトンボになっていくのはイヤだと思っていたんです。しかも、ちょうどジャンプしようとしている時期でもあったから、また、そっちもオーバーラップして・・・。なんか、彼女たちを応援したくなったんですよ。と思ったら私の好奇心は相変わらずだし、感情のおもむくままに突き進むタイプなので、すぐにスタッフに応援したいんだけど・・・と言って、ホッケー協会に繋いでもらったんです。そしたら、ホッケー協会も2つ返事で、「ぜひ!」と言ってくれて。そこからはコロコロと転がっていった感じですね。

Excite:楽曲制作に入ったのはいつぐらいだったんですか?

大黒:なんと、そのテレビ番組を観たのが5月初めだったんです。これはシンガーソングライターだからできるのよね。そこから、1か月ぐらいで曲を仕上げちゃいましたね。作曲家、作詞家、アーティスト、アレンジャー、プロデューサーに話を振っていたら、たぶん、できないコトですよね(笑)。彼女たちが遠征に行く前にどうしても曲を届けたくて、一心で作ってたら、結構、早くできて。三位一体だから早くできたって感じ。

Excite:では、どのようにして今回の楽曲「ASAHI〜SHINE&GROOVE〜」はできたんですか?

大黒:曲は、最初にテレビの映像でフィールドを走っている姿とかを観た時にイメージができていて、とにかく、走るテンポにしようと思いました。まぁ、人それぞれ走るテンポが違うと思うけど、前の「アイデンティティ」(2002年に発表したシングル。TBSサッカーイメージソング)の元は123から127ぐらいで、いわゆるホッケーとかで走る感じ。で、もっと速いスポーツになると130代以上になるんだけど。「熱くなれ」(1996年に発表したシングル。NHKアトランタ五輪放送テーマソング)みたいに、とにかく、いけいけどんどんだと、140ぐらいで。一応、私の中では走るテンポがあって・・・。あと、選手自身、普通にグッとくるものにしてあげたいなと思って、メロディも、あんまり不可思議なものにいかずに、割とシンプルなものの方がいいかなって。だから、ただデータを見ながら曲を作るのはイヤだったんです。で、選手に会いたいなあと思ったら、ちょうど、遠征から帰ってきた時にタイミングが合ったので、岐阜のスタジアムまで会いに行きました。

Excite:会った印象はどうでしたか?

大黒:会う前は、大きくて女を捨てちゃって、ガ〜ンっていう人たちかと思ってたんですけど、実際、会ってみると、すっごくかわいくて、普通の女の子と同じようにちっちゃくて華奢で、安心しました。
大黒摩季

タイムリーに私の全盛期とかを知っている子たちだったりしたから、行っただけで大喜びしてくれて。最初、インスピレーションで何か沸くかなと思って1人1人と話をして、座右の銘とかを聞いてみました。すると、思いの他、ずっと大事にしてきたんだろうなあ〜っていうしっかりとした言葉が出てきて・・・。その言葉を作り変えて、修飾して意味が薄まっちゃうのはイヤだったから、できるだけ使ってあげたいと思いましたね。16人いて16フレーズあるから、初めは困ったなあって思ったけど、とにかく、やってみようと。それで歌詞を進めていきました。その後、キャプテンの三浦(恵子)さんに、試合前とかで気合いを入れる掛け声は何?って聞いたら、T朝日Uって言うんですって。朝日は昇っていくだけだから、私たちもそういう風に昇っていきたいんですよと答えてくれて・・・。その言葉はとてもステキだなあと思って、早速、持ち帰りました。その前から曲はだいたいできてたんだけど、サビ頭だけがなぜかしっくりこなかったんですが、そのT朝日Uという言葉を聞いてから、帰りの車の中で完璧なメロディができちゃったんですよ。

Excite:じゃあ、その後に歌詞を組み立てていった感じですか?

大黒:はい。座右の銘のパズルが始まりました。最初、技術でやってたら、なかなか埋まらなくて。それでもう1回、会いに行きました。彼女たちとずっと話したり、ハグをしたりして、盛り上がっていくうちに愛情がもっと湧いてきてね。初めは「サポートソングを書く大黒摩季です」って感じで多少の距離感はあったんだけど、何度か会っていくと、隣近所のおばちゃん、お姉ちゃん的な感じになってきて(笑)。すると、不思議だよね、あんなに苦労していたフレーズがスポーン、スポーンと埋まっていって、それでできあがりました。

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