Excite:今年5月にリリースした『秘密』以来ちょうど半年ぶりのインタビューとなりますが、今年は本当に順調なペースで制作が進んだっぽいですね。アルバムも7か月程で作り上げたそうで。

スガ シカオ(以下、スガ):短かったですね、今回。その間にシングル3枚とか出てたりして、忙しい、バタバタした間に7か月で作りました。調子の方も絶好調は絶好調です。

Excite:と、すると、アルバムに収録されているのはシングルを含めて10曲ですが、他にもたくさん曲ができたとか?

スガ:たくさんって感じじゃないですけど、結構予備の曲みたいのもありました。

Excite:その中から選んだとなると、当然選ぶ基準もあったと思うのですがいかがでしたか?

スガ:なんとなく、かなぁ。バラードとかはもう、あんまりいっぱいいらないので。まぁ2曲もありゃいいかなってぐらいの感じで、そうすると後は全部、バラードいらないってことになるし。で、ポップな感じの曲も『クライマックス』とかあるから、もういいかなぁみたいな。なんか、そういった感じで結構、大雑把に選んでます(笑)。

Excite:そうして完成したアルバム『TIME』。曲についての前に、まずはタイトルを『TIME』にした理由を教えてください。理由がまだうまく話せないという話も耳にしているのですが…。

スガ:そうですねぇ。まぁいつも後付けだからね。そうだなぁ、いろいろありますけど、どれにしますか?(笑)

Excite:スガさんのお好きなものを(笑)。

スガ:でもまぁ、歌詞の内容が。少年期の歌詞が出てきたりとか青年期の頃が出てきたりとか、今の自分が出てきたりとか、いろんな時期が出てきて歌詞を書いてる感じがするんですよ。そういう意味で、そのひとつひとつの時代が歴史になってるじゃないですけど、ひとりの少年が大人になっていって、何を失って何を得るかみたいなものが表れてるのかなぁ…みたいなところで『TIME』。いかがでしょうか?(笑)


Excite:なるほど(笑)。でも実は私も、タイトルを意識しながらアルバムを聴いた時、今までのアルバムよりも時間軸の幅が広い印象を受けていました。なので、今の理由にすごく納得です。

スガ:歌詞についてはもう、あんまりいろんなこと考えないで書けちゃってるんですけどね。どうこうしようとも思ってないし、コントロールしようとも思ってない。なんか、占いみたいなものですよ。「こんなの出ました」って。自分が体験してるのかって言われると、体験してんのかなぁ? みたいなね。歌詞は結構、なんだかよくわからないうちに書けちゃってるんですよ。すごいスピードで。

Excite:いろいろと模索した末に誕生した前作『SMILE』とは違い、今回の『TIME』からは迷いを感じませんね。

スガ:(迷いは)ないですねぇ。

Excite:迷いがなかったことが早く完成したことにつながりますか?

スガ:それもあるし、こんなこと試したいなっていうことがたくさんあって、それをひとつひとつできたかなっていうのもありますね。曲や詞の仕上がりが早い分、いろんな実験ができるんですよ。今回、それはすごくありましたね。

Excite:ちなみに今回もどこかに籠って制作したんですか?

スガ:いえ、籠ってません。自分の仕事部屋とスタジオとで作りました。『SMILE』の時は結構、自分のいろんなことから抜け出すのが大変だったんで。それに比べると楽しくラクにできてます。

Excite:それでは少し、楽曲についてお伺いしたいんですが、まずは1曲目の『サナギ』。アルバムの最初を飾る曲にしてこれは…

スガ:「終了」って感じですよね(笑)。

Excite:この音、この世界観、かなりインパクトありますね。

スガ:なんか、『SMILE』の頃のちょうど『気まぐれ』みたいなものをすごく狙ってたんですよ。ずっとやりたかったんだけど、でもどうやったらいいのかわからなくて。頭ん中に雰囲気だけ、その空気感みたいなのはすごくあるのに、どうやってこういうような音楽にしたらいいんだろう?って、全然掴めなくて。『SMILE』の時も、やりたいんだけどどうにもやり方がわからないって言っていたのが多分、『サナギ』みたいな音楽なんですよね。それで今回、すごく時間があったっていうのもあるし、思い切った実験ができたので、ちょっといろいろやってみようってところから始めました。でも、スタッフにいろいろ説明してもサンプルがないから、「こういう歌なんです」と口で言ってもみんなわかってくれなくて。まずは資料集めから。

Excite:音集めってことですか?

スガ:「こんな感じなんだけど、これよりもうちょっと具体的に」とか、「これよりはもうちょっとこっちに近い」とか、そういう曲調をMDで集めてスタッフに渡しました。その上で、そういうのを今回のアルバムで狙いたいんだよねっていう話をして、自分でもデモテープを作ったりして、段々段々近付けていった感じなんですよ。なんか、歌詞がこうあって、その後ろの空間がその歌詞と一緒に歪んでいく感じっていうか。空気自体が歪んでいく感じ…。歌詞と一緒にそういう風になる音楽みたいな。って、口で言っててもわかんないですけど、とにかくそういう風に作りたかったんです。

Excite:初めて『サナギ』を聴いた瞬間、ゾワッて鳥肌が立ちました。

スガ:ですよね。そこでゾワッてなんないと、このアルバム、ほとんど聴きどころがないんですよねぇ。『サナギ』もそうですし『アーケード』とか『魔法』、それから『風(かざ)なぎ』。そのへんの曲は全部、そういうテイストで、歌詞に準じて作ってあるので。なんか、楽器を声みたいにしたいんですよね。声ってすごい、人それぞれキャラクターがあるじゃないですか。そんな風に「あ、ギターの音がした」っていうか。なんでもいいから、歌詞に対して声で応えてるような歪んだ空気感の曲にしたかったんです。それがわかっていただけるとすごいうれしいですね。


聴いた時に「なんか、キモイ」とかって流されるとですね、ホントこのアルバム続かないんで(笑)。そういう作りになっているんで、相当の冒険作ではあると思います。

Excite:その流れで『魔法』についてもぜひお伺いしたいのですが。

スガ:やっぱり2004年に作ったっていうのもあって、『魔法』はすごく、自分の日常にあるモヤモヤしたものがテーマになってる感じがするんですよね。『カラッポ』なんかもそうなんですけど。

Excite:やはりその辺も音に反映した感じですか?

スガ:そうですね。歌詞を作った後に、こんな感じにしようっていうアレンジを作っていって。やり方というか行きたい方向は『サナギ』と一緒なんですけど。やっぱりねじれた空間というか。そういうのが歌詞と相まって、歌詞以上のものを訴えられればいいかなぁって感じですね。もちろん基本はファンクなんだけど、それプラスってところです。