斉藤和義
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斉藤和義 斉藤和義
INTERVIEW 2
Excite: ここ最近の活動を拝見していると、斉藤さんは各地の夏フェスに出演したり、そのバンド・メンバーも森信行さん(元くるりのドラマー)や隅倉弘至さん(初恋の嵐のベーシスト)といった若いミュージシャンと演ったり、「若いリスナーに曲を届けたい」という意欲をヒシヒシと感じるんですけど。
斉 藤: バンドのメンバーに関しては、気に入ったメンバーが結果的に若かっただけなんですけど、彼らの音はピチピチしているから、そういう部分に刺激を受けたかったのは事実ですね。「若いリスナーに、もっと聴いて欲しい」というのは、常々思っていることではあるんですけど、フェスに出させてもらったこともあって、最近は特にそうですね。
Excite: 今の10代、20代のリスナーについては、どう思われますか。
斉 藤: 10代、20代の子たちは、「(TV番組で頻繁にオンエアされた)『歩いて帰ろう』を番組で観て知ったんだろうな」っていう雰囲気もあるし、音楽に一番飢えてて、色々聴いてみたいと思う年齢って、ちょうどその頃だったりするじゃないですか?で、その頃、聴いて気に入ったもの、そこで残ったものを、30代、40代で聴き続けると思うんですよ。その年齢になると、CD屋さんから足が遠退きがちで、音楽自体から離れて行っちゃうじゃないですか?だから、10代、20代の子たちに今聴いてもらって、そこからずっと聴き続けてもらいたいんですよ。以前、ベスト・アルバムを出した時も、今回にしても、そういうことは考えてますよね。
Excite: 今回、『白盤』と『黒盤』という2枚のセレクション・アルバムをリリースすることになったのも、正にそういうリスナーにとっての入り口になる作品という気持ちがあったわけですね。
斉 藤: そうですね。話自体は、レコード会社の方から「企画モノで2枚出したい」って提案があって、内容を色々考えた結果、『白盤』と『黒盤』っていう色で分けてみようかなと思ったんです。
Excite: この2枚は、ベスト・アルバムとも違うものなんですよね?
斉 藤: そうですね。ベスト・アルバムとは違う、もうちょっと企画的な内容で、ハードな曲とソフトな曲に分けてみようっていう。最近では、「聴いてみたいけど、どの作品から聴いて良いか分からない」みたいな話も、ちらほら聞こえていたし、前回のベスト・アルバム『Golden Delicious』から7年経っているから、それ以降の曲も収録しつつ、まさに「入り口になるような作品にしたいな」と思いましたね。
Excite: 今回の選曲に関して、自分の曲を聴き返した上で選曲してみて、いかがでしたか?
斉 藤: 各盤を10曲ずつに絞るのが、なかなか大変で。最初に、候補曲を挙げてみたら、どっちも4、50曲ずつくらいになってしまって…。それを、「どうまとめようかな?」っていうところで、「アレを入れたら、コレも入れなきゃ」って。実際、すごく悩んだし、そんなことやってたら、いつまでも出すものが出せないなと思ったので、結局、選曲の締め切り日の気分で選ぶっていうことにしたんです。過去の曲に関して、ツアーでやる曲は聴き返したりするんですけど、普段は、そこまで聴いたりすることはないので、昔の曲を聴き返すのは新鮮ですよね。それぞれの曲を作った時のことは、はっきりと覚えているんですよ。だから、「あ、この曲の時は、あんな感じだったな」とか、そういうことを思い出しつつね。
斉藤和義
Excite: 4、50曲の候補曲から各盤10曲ずつに絞った、締め切り当日の気分というのは?
斉 藤: 『白盤』は、「なるべく歌詞の内容的に救いのある曲を選ぼう」と。『黒盤』は、「救いも何もなくて良い」っていう感じで。曲の並びは、叩き台をスタッフが作って来てくれたこともあって、それを元に入れ替えをしながら進めましたね。作業は、スムーズでしたよ。
斉藤和義
Excite: “救いがあるかないか”が基準とは、また面白いですね。
斉 藤: 曲調的にエレキ・ギターが歪んでいたら『黒盤』っていうわけでもなく、音と詩の両方から受ける印象から、『白盤』と『黒盤』に分けました。もちろん、そのどちらでもない曲、どちらに入っていてもおかしくない曲もあったりしますけどね。例えば、「歩いて帰ろう」なんかは、一般的なイメージだと白っぽいと思うんですけど、この曲は怒りモードで作ったのもあって、歌詞だけ見ると、実は暗かったりして、自分の中で白黒分けるとしたら、黒なんですよね。だから、今回この曲は『黒盤』に入れたんですよ。あと、『黒盤』に入ってる「ドライブ」は、『白盤』に入っててもおかしくはなさそうだし、自分の曲を白黒分けるのに、無理があるって言えばそうなんですけど(笑)。まぁ、こういう企画の元に、無理矢理ね。
Excite: ちょっとした遊び心っていうことですよね。
斉 藤: そうですね。両方合わせて聴いて欲しいです。僕のことを知ってくれている人には説明不要だと思うんですけど、知らない人の中には、「歌うたいのバラッド」で知ってくれて、僕を“バラード系の人”だと思ってる人もいるみたいだし。「歩いて帰ろう」で知ってくれて、ああいう“明るいポップスをやってる人”だと思っている人もいるだろうし。『ジレンマ』以降に知った人は、“ゴツゴツしたロックをやってる人”っていうイメージがあるだろうし…。“斉藤和義像”って、聴き手によってバラバラだと思うんですよね。だったら、そのバラバラなイメージを逆手に取って、自分の曲を分けてみようかとも思ったんですよね。ただ、ベスト云々っていうのは、個人的に発信する側としては好きじゃなかったりして(笑)。最初からオリジナル・アルバムを聴いてくれれば、それに越したことはないんだけど。ただし、聴き手としての自分を考えた場合、「このアーティストは、どんなもんなんだろう?」って思った時、手に取り易かったりするのは、ベスト・アルバムやコンピレーション・アルバムだったりするので、気持ちは複雑ですよね(笑)。だから、今回はベストではなく、あくまで企画っていうことにしておきたいですね(笑)。
Excite: ご自分で選曲された、この2枚のアルバムが出来上がった率直な感想を教えてください。
斉 藤: 後から振り返ると、アルバムを作ってる時っていうのは、そのアルバム特有のモードになっているんですよね。例えば、前作のアルバム『青春ブルース』だと、1曲1曲はなるべく3分台にしようとか、そういうルールがそれぞれのアルバムにあって。でも、時期もルールもバラバラな曲を今回の2枚にまとめてみると、「昔からやってることって、あまり変わらないのかな?」っていう気がしていて。曲の作り方もそうだし、歌ってる内容も、そんなに変わってない気がするし。
Excite: その“変わらない部分”っていうのを、敢えて言葉にするなら?
斉 藤: その時々のブームで、色んな服を着せてみるものの、それを取っ払っても“ギター1本で曲として成立する”っていうこと。そういう曲じゃないと、イヤなんですよ。それは、元々弾き語りでやっていたっていうこともあるし、アレンジを覚えたのは、デビュー以降の話ですね。1枚目の『青い空の下…』と2枚目の『素敵な匂いの世界』はアレンジャーさんと一緒にお仕事させてもらって、そこから学びつつ、自分でやるようになって行ったんですね。
Excite: あ、そうだったんですか。それは意外な話ですね。
斉 藤: だから、アレンジに関しても、曲作りに関しても、何となくコツが分かった気がするけど、全然分かってない気もしてて。今でも全く曲が思い浮かばない時に、昔の詩を見たりすると、内容どうこうよりも、字面だけで、「我ながら、よく書いたな」と思いますもんね(笑)。
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