INTERVIEW WITH BUMP OF CHICKEN
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一年ぶりのシングルですが、素晴らしくも優しく心に届くメロディーと歌詞による一曲だと思います。今回はジャケットも素晴らしいものが出来ましたし、ビデオクリップも新しい世界に挑戦してるし、多角的な要素を持った作品だとも思います。まずはこの曲の生まれたいきさつを教えてください。

藤原 藤原:

まずAメロの断片と歌詞が別々にあったんです。そのふたつのピースが、ある時、僕の中でハマッてAメロができて。ただ、それはAメロだけで完結したものだったので、そこから先を作る気が起きなくて。しばらくタームが空いたんですね。曲を作る時っていつも、「これは人に聴いてもらう曲なんだ」とか「バンプ・オブ・チキンでやるんだ」とか考えないんですよ。僕が曲にしたいなって思う一番の基準――自分の中で凄く信頼できる基準なんですけど――は、歌詞に関して言えば本当に思っていることを書く、言葉にするということ。メロディに関して言えば、鼻歌レベルであっても何回も繰り返して歌ってしまうもの。それが基準になってるんです。

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そうやって何回も鼻歌を歌う中で、「あ、俺このメロディを気に入ってんだな」って確認することもあるの?

藤原 藤原:

気に入ってるとかどうかはあんまり考えてないけど、ただ忘れないってことですよね。テープレコーダー持ち歩いて録音しなきゃ覚えてられないメロディだったら、「大したことねぇんじゃねぇかな?」って思う。あのとき生まれたAメロの断片も歌詞も、そういうものだったんです。忘れてなかった。ことあるごとに反芻するメロディと言葉だったんです。で、そのふたつの相性がよかった。字数合わせとかもせずにメロと言葉がハマったんですよね。……あの、職業意識が凄く薄いんですよね(笑)。僕は音楽に触れてる時に、必ずしもバンドの作品として発表するんだっていうふうに直結してないんです。鼻歌とかは生活の一部だしね。

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生命のパーツが合わさって1曲の歌ができると思うんですけど、それを実際に曲にする時というのは、自分の中で高揚して、時間軸を飛び越えた中で生活しているような感覚になるんですか?

藤原 藤原:

なりますねぇ。端から見てると心配になるみたいですね。でも、ここでどれだけ苦労したんだみたいなことを言うこと自体が不毛だなぁと思うし、実際、苦労と呼べるようなことはしてない気がするし。詩を書くことに時間がかかったことが苦労なのか、曲を作ることが苦労なのか……でも俺にとっては楽しいことなので、苦労したって意識は低いんですよね。

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この曲が藤原からメンバーの元に届けらた時に抱いた気持ちを、それぞれ教えてください。

直井 直井:

今回はプリプロという形で――みんなでスタジオに集まって、藤くんがギターの弾き語りで聴かせてくれるというパターンだったんです。初めはギターを入れて行ってコード進行が明らかになって。で、次に歌を入れてくれて、その時に初めて完成図が見えたんですけど、(ギターの)和音だけで聴いてる段階から「早く弾きたいな」っていうのは凄く思ってました。和音自体がすべてのリズムとベースラインを導いてくれるような作りになってたので。初めから、ギター1本で凄く綺麗に成立する曲だった。しばらくは「なんて気持ちいい曲なんだろう」って嬉しい時間が漂ってました。

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そういう時って、ほんわかしながらみんなで聴いてるの?

直井 直井:

言葉をなくしますね、やっぱり(笑)。楽しいだけじゃないんですよね。詞を読むと自分の触れたくない部分や「死」の部分にどんどん近づく感覚があるし……凄く複雑な気持ちになります。でも、その反面、自分はプレイヤーなので、その気持ちを解決しないままに持ちながら、ベースラインのほうに興味が行ってしまう。……今までと同じ感想で申し訳ないですけど(笑)。でもやっぱり、新しい感想ってないんですよ。「この曲、いつもと違うくね?」とか、そういう単純なことってないっすね。もちろん曲自体は、いろんな種類の曲があると思うんですけど、でも俺にとってはいつも一貫した何かが流れてて、それについて考えるから。ただ、バンプ・オブ・チキンの曲には参考資料が何もないんですよ。「こういう感じでやればいい」っていう参考資料が一切ない。だから新しいものを作る感覚もないんだけど、既存のものを引用することもない。本当の意味でオリジナルなんだなぁと思います。あと、今回はデモ段階で藤くんがカホン(四角い箱形をした、シンプルなペルーの打楽器)でリズムを作ってきてくれたから、そのギターと歌とカホンっていう段階で十分にバンドに伝わった。

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カホンって凄く原始的な楽器ですよね。それを藤原が持ち込んできた時に、その風合いの意味を感じたりしなかった?

直井 直井:

というか、自分の意識の変化としては、『THE LIVING DEAD』やそれ以前の頃よりも、本当の意味でベースってものが好きになってるし、音楽が好きになってる。前だったら、「誰かがコピーしようと思っても絶対にできないようにしたい」って考えながらやってた部分があって。アンチの部分がでかいって言うか、普通に8ビート弾くのはカッコ悪いとか思ってた時期があった。でも、それは違うなぁと思い出して、その毒気を抜き始めたんだけど、これが意外と大変な作業で。裸になるのが一番難しいって言うか(笑)。『jupiter』あたりからシンプルにして行こうってやってて……曲が求めているラインって一つしかないんです。それをいろんな方法で探してくんですけど……ただ、まだそれは見つかってないと思うんです。それが悪いことかって言ったらそうではなくて、昔よりも『この曲はこういうふうに弾いて欲しいんだよ』っていう言葉が聴こえやすくなってきているのは確かです。前も何となくは聴こえてたんですけど、それを無視して「俺はこうじゃないとダメだ!」とか「シンプルに弾くのは嫌だ、弾きまくらなきゃカッコ悪い!」とか、そんなふうに思ってやってた。でも最近は、曲の言葉をちゃんと聴けるようになった。そういう意味で、リスナーの人にはシンプルに聴こえてきてるのかもしれない。あと最近、派手に装飾されたと言うか、意味のない派手さを持った曲を耳にすることがあるんですけど、それは心に響いてこないんですよね。趣味嗜好もあるでしょうけど、自分の中に残っているのはシンプルな曲が多い。そのシンプルって概念は、たとえばオーバーダビングしていたらシンプルじゃないとか、打ち込みだったらシンプルじゃないとか、そういうことじゃなくて、必然的な音だけが鳴ってるって意味なんですけど。

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増川は初めに聴いた時はどうだった?

増川 直井:

最初にギターのみの段階で聴く時は「いい」とかよりも「このコードって何だろう?」とか考えちゃうんですけど、歌の段階では……いつもそうなんですけど、最初はあえて歌詞を読まずに歌を聴いてくんですね。その時は、演奏がどうとかじゃなくて、単純にリスナーに近い感覚で聴いてます。で、毎回同じですけど、「凄くいいなぁ」って思う(笑)。「前もよかったけど、今回もいい」とか思わない、もうちょっと単純な感じと言うか……幸せな時ですね。本当に「今回は前と違うな」とか、いちいち考えないんですよね。「このよさはどうだ」とか、そんなことは考えない。そんなことよりも、今あるものが素晴らしいっていう、素晴らしい感覚がこみあがってきます。

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