| Excite: |
今回は、12月12日にリリースされたニュー・アルバム『&』についてお話を聞かせてもらいますが、その前に、先行シングル『指切り』のことについて聞かせてください。この曲は、小林武史さんが作曲とプロデュースをされていて、バンド・サウンドになっていますね。アルバムを前に、一青 窈さんの違う面が見えた作品だと思ったんですが。 |
| 一青 窈: |
そうですね。小林武史さんとは今年の夏に行われたap bank fes ’05をきっかけにお会いしました。ap bank fes ’05の為に曲を作って欲しいと依頼したんですけど、フェスに向けて私が詩を書くことが出来なくて…。結局、フェスの後にシングルとして出すことになったのが、この『指切り』なんですよ。 |
| Excite: |
なるほど。7月のap bank fes ’05で小林さんとの出会いがあったから生まれた曲だったんですね。 |
| 一青 窈: |
はい。この曲が完成してから、アルバムの7曲目以降の曲が「バーッ」と出来たんです。3rdアルバムを「こういったコンセプトで作ります」って向かって行ったんじゃなくて、シングル『影踏み』(2005年4月)と『かざぐるま』(2005年9月)をリリースした“今までの一青 窈”の流れを、素直に詰めてしまったので、別に後付けで「こういうコンセプトです」っていうのもないんです。1年8ヵ月振りに出したアルバムでもありますし、カッコつけて作ったわけではないんです。どちらかと言えば、自然な流れで作った感じですね。 |
| Excite: |
コンセプトを考える以前に、出来上がった楽曲が、ひとつの作品、アルバムを作って行ったんですね。 |
| 一青 窈: |
そうです。『指切り』が出来る前は、「3rdアルバムは完成しないんじゃないかな?」って思ったぐらいだったんですよ(笑)。小林さんと出会って、自分の表現方法が変わりました。特に歌詞の表現が変わったんですけど、歌も肉体的に感じたままを出すということを意識しました。「指切り」って後奏が長いんですけど、その部分って最初は楽譜にはなかったんですよ。レコーディングでいきなり小林さんがピアノを弾き出して、そうしたらドラムや他の楽器もみんなついて行ったので、「あ、私だけ置いて行かれる」って思ったくらいでした(笑)。ホントに、音もバンド・サウンドとしてうねりが出来たんです。それを聴いて、「この感じって、私がすごくやりたかったことだったわ」って。それでアルバムの7曲目以降は、そんな感覚で作った曲なんですよ。 |
| Excite: |
「指切り」のレコーディングが楽曲の作り方まで変えてしまった、と。 |
| 一青 窈: |
はい。以前は、作曲家が曲を作って、作詞家としての一青 窈が歌詞を書いて、その間で色々とやり取りはありましたね。どちらかと言うと、職人の分担作業みたいな感じだったんですよ。よっぽどのことがない限り、歌入れのときにも歌詞を直さなかったですし、完成形が見えてましたから。でも、7曲目以降はフレキシブルに。その自由な感覚っていうのは、私がap bank fes ’05で観てた櫻井(和寿)さんとBank Bandの感じなんですよ。桜井さんの歌った後が私の出番だったのでステージの袖で観てたんですけど、リハーサルにはやらなかったことを突然やり出したんですよ。それにビックリして。でも、確かにオーディエンスはそれを求めてましたし、天候も含めて、「あ、これが音楽の本来あるべき姿なんだ」って。それがすごく羨ましいって思ったんです。そこで、グイグイと引っ張って行く櫻井さんのパフォーマンスと、Bank Bandが押し上げて行く感じを観て、「私がやりたいことは、きっとこれなんだろうけど、ここまでは技量がないし、音楽というものに対して言葉を知らない。だけど、やらなきゃいけないことだな」って。そう思ったら、3rdアルバムを作る気がムクムクと起こって来て(笑)。「指切り」のレコーディングではそれが出来たかなって思うんですよ。アルバムの最後の曲「さよならありがと」は、武部(聡志)さんとずっとやってきたんですけど、これまでとは違った音が出来上がって。「もらい泣き」や「かざぐるま」のような額縁に入った美しい絵というよりは、いびつな感じを出すことが出来ましたね。それによって、武部さんとやりたいことが見えたのが、私の中の大きな収穫でした。 |
| Excite: |
色々な意味でap bank fes’05は、大きな出来事だったんですね。 |
| 一青 窈: |
ソロ・ボーカリストっていう形態をとっているので、バンドっていうのを羨ましいなって思っていたんですけど、実際にどうやって音を作り出しているのかを体感することが出来てなかったんです。Bank Bandにコーラスとして参加させてもらったことで、連日連夜練習に参加することにより、「こういう楽しい作業なんだ」って。これまでひとりでコンコンと詰めて行くことが多かったから、すごく楽しかったんですよ。 |
| Excite: |
私もap bank fes’05の二日目を観に行ったんですけど、出演アーティスト全員が楽しそうに歌ったり演奏してるように見えて、ステージ上にいる人たちを羨ましいって思いながら観てました(笑)。 |
| 一青 窈: |
うんうん(笑)。ホント、すっごく楽しかった。良い経験でしたね。そこでは「指切り」は歌えなかったけど、小林さんたちとセッションして歌ったのはすごく楽しかったですから。 |
| Excite: |
ap bank fes’05以降、その気持ちをキープしたまま、アルバム後半の曲を一気に作ったんですね。 |
| 一青 窈: |
はい。後半の曲は、ホントに新しいものばかりなんです。 |