Excite: まずは、シングルのキーマンとなった盟友であるチャーリー・ドレイトンの話から訊かせてもらえますか。
奥田: チャーリーとは、ソロになって最初のアルバム『29』で弾いてもらった時に会ったから、もう12年ぐらいになりますね。チャーリーは ストーンズのキース・リチャーズのソロ・バンドをやっていて、そのバンド丸ごと俺のアルバムに参加してくれたわけですよ。その2年後に『FAILBOX』でまたやって、なんとなく仲良くなったっていう。チャーリーと僕は同い年なんですよ。なので、こちらにはこういう アイデアがあるとか、こうやったほうが面白いとか、バンバン言い合うようになって、そのうちに「曲を共作してみようか」ってことになってった。
Excite: 今回もそんな感じで始まったんですか?
奥田: そうそう。最近だと「曲のアイディアが何個か出来たから、レコーディングやろうよ」っていうメールが向こうから来たり。このシングル の時は、「アイディアがあって、スケジュールはここが空いてて、エンジニアのドン・スミスも空いてるから、ロスに来ればレコーディング出来るよ」って言うから、そう言われたら、行くしかないじゃないですか(笑)。
Excite: 良い友達じゃん(笑)。日本人の友達とは違う?
奥田: まあ12年の間に何回会っているかといえば、そんなに沢山はないけど、やっぱり年が近いっていうのと、チャーリーも日本の音楽が 好きみたいで、スーパーカーとかね。それに、日本語も勉強したがってる。日本語で曲が作りたいんじゃないかな。
Excite: 曲は、奥田民生の指向に近いのかな?
奥田: そうだね。彼は、なかなか真面目なんだよね。アメリカ人って脳天気なイメージがあるけど、そんな人ばっかりではない。
Excite: チャーリーはスタジオではどんな人なの?
奥田: 俺、ずっとソロでやってから、当然だけど何から何まで自分で決めてレコーディングを進めなきゃならない。けど、チャーリーがいると そういうことを任せてやってもらえるから、楽といえば楽なんだよね。英語でのコミュニケーションも限界があるから、任せる。


Excite: 海外のスタジオならでは、だね。
奥田: そう。それが効を奏することがあるんですよ。日本でやってると自分 で全部決めるしかないけど、アメリカで人に任せてやってもらうと、これが良かったりする。キーボードの音色とか細かいことを俺が決めて も決めなくても、結果はあんまり変わらない。そんなことより演奏のほうが問題なわけよ。良い演奏が録れてれば、もうそれで良いのよ。
Excite: おぉ、達観してきたね。
奥田: もしバンドっていう形でやってたら、それぞれのメンバーが自分のパー トに関しては責任持ってやるわけでしょ。チャーリーにまかせるのは、それに近いところがあるかもしれない。
Excite: 日本の他のスタッフは?
奥田: (小原)礼さんと一緒に行ってベース弾いてもらったんだけど、礼さんは ロスに住んでたことがあるから、通訳もしてもらって。
Excite: ラッキーだね。
奥田: ほんとに。それよりね、このシングルのレコーディングをしたのは去年 のことなんだけど、俺とチャーリーの二人とも40歳になったばっかりだったんで、「40歳になったね」と言いながら盛り上がってたんですよ。
Excite: チャーリーさんも40歳になったんだ。そういえば、外国の人にとって40歳っていうのはどんなニュアンスなの?
奥田: 俺がロスに着いて、ホテルにチェックインしたらチャーリーがそこに現 われて、最初の一言が、「40になっちゃった、信じられない」だったんだよね。俺より40歳になったことでヘコんでるような節がある。 俺はそんなに気にしてなかったんだけど、チャーリーは俺に会った途端にそう言ってたから、相当気にしてるんじゃないかな。

Excite: でもチャーリーはキース・リチャーズとか、カッコイイ先輩と付き合ってるんでしょ。
奥田: 付き合ってるけど、自分は若くして付き合ってきたのが、今度は自分がそっちのほうに寄っちゃってるから、ヘコむわけですよ、がははは(笑)。
Excite: あははは(笑)。奥田さんは気にしてない?
奥田: 30歳になった時より気にならないですよ。30歳の時のほうが、「あぁ、30になっちゃった」と思ったかな。49歳ぐらいでガックシって なるかもしれないですけど(笑)。