今回のアルバムの印象としては、曲に出てくる“僕ら”だったり“僕たち”がすご くゴーイングの5人を想像させる、バンドとの距離のない作品だということでした。
あぁ、なるほどね。
今回は非常にバンドとしても悩みながら作っていった1枚ということで、その制作時のことを振り返ってもらいたいな、と。
でも最初は何も考えてない、というところから始まったんですけど。武道館やって、 ベスト盤も出してってところで「さて…」みたいなもので。ここで一区切りついたし、 1年に1枚アルバムを出して…みたいな流れにいつの間にかなっていたし、ちょっと そこは置いておいて、締め切りは設定しないで自然に5人のやりたい音楽を生み出 していって、アルバムに辿り着こうって。それで“オレたち今どんな音楽をやりたい のかな”っていう確認作業も含めて合宿に行くわけですよ。そのときは特にコンセプ トも立てないし、「とりあえず作りたい曲を作ろうぜ」ってやっていくと、出来ちゃうわ けですよ。それが『胸いっぱい』だったり『TWISTER』だったりするんですけど。 もちろん自分たちでも満足のいく曲だし、全然枯れてないし、まだまだやりたいことも いっぱいあるぜって目の前は開けていたんですよね。ただその時点ではどんなアル バムにしていくかとか、ここからどうなっていくかとか想像もしていなかったから。何 も考えてないところからスタートした感じでしたね。
深いね。“何も考えられなかった”のかもしれないし…。実際は。
今振り返ると“イケてる気がしていたムード”なんだよね。だから当時のインタビューとか読むと「バッチリですよ〜!」って言ってるから。

このあいだ『さかさまワールド』の取材のときに松本さんが「5人の気持ちの確認作業だった」って 話してくれていたんだけど、その何も考えていない状態からどうして“5人の気持ちの確認作業”になっていったの?
それぞれあるとは思うんですけど、僕の場合はラ イヴをやっていてもレコーディングをやっていても感じていたことがあって。ライヴって回数を重ねれば 重ねるほど上手くなるっていうのが一般的だと思うんですけど、ずっと80点みたいな。ブレイクスルーがない感じがしていて。ぼんやりとした物足りな さみたいな。“これって何なんだろうな?”って考え始めたこと。それと、僕は素生(松本)と1対 1で歌入れをしているんですけど、だんだんリアルタイムで感動する場面がなくなってきていて。録る テイクも年々増えてきていて、その中から選ぶ感じになってきて。「良い!」ってときは本当に一発で OKになっていくんだけど、そういうのがなくて、消去法で良いテイクを選んでいくようになっていたん ですね。その“ダイレクトに響いてこないのは何だろう?”って考え出して…。発端はそういうところでしたね。今まで作ってきた曲とか、その時点での最新曲も良い曲なんだけどなにか物足りないって感じていたんですよね。