Interview with ハナレグミ
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ハナレグミ
ハナレグミ 新譜のリリースとしては、実に4年半振り。ついにハナレグミが新曲『光と影』をリリースする。この曲が初披露されたのは、昨年6月13日。代々木公園で行われた【100万人のキャンドルナイト「Candle Odyssey2008」】におけるフリーライヴだったこの4年半で再確認した自らの音楽観、そしてハナレグミの今後の活動にとって大きな指針となるであろう「光と影」に込めた想いを訊いた。 (取材・文/三宅正一)
Excite:リリースとしては3rdアルバム『帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。』以来、約4年半振りになりますが、まず永積さんにとってこの時間は長かったですか、それともあっという間だった?
永 積:過ぎてみればあっという間だったな。あんまり作品をつくろうという意識は無かったけど、いろいろと活動はしていたし。
Excite:ハナレグミの存在と音楽がどんどん広く認知されていくなかで、自分の音楽観をあらためて見つめ直したいと思った時間でもあったんですかね?
永 積:そうだね。それまでけっこう密に活動してたから、1回何も決めない時間の流れのなかで自分がどういうことを考えるのかを探ってみようと思ったんだよね。ただ、自分を取り巻く状況のことはあんまり考えてなくて。自分の音楽を好んで聴いてくれる人って「絶対年に1枚はアルバム出してよ」って望むような感じでもなくて、想いが詰まってる音楽を聴きたがってくれてる気がするしね。
Excite:確かにそうですね。それはすごく幸福なアーティストとリスナーの関係ですよね。
永 積:そうだね。自分も1年に1枚とかの流れのなかでは音楽を作れないってわかってるしね。この何年間はohana(ポラリスのオオヤユウスケ、クラムボンの原田郁子とのユニット)で活動したり、スーパーバタードッグをやったり、ハナレグミとしてもいろんな場所でライヴをしながら過ぎていって。
Excite:ライヴはひとり旅をするように、告知なしでいろいろな地方や場所でやっていたとも聞きました。ハナレグミのことをまったく知らないお客さんに向かって唄うことも多々あったと思うんですけど、そのなかで何か考えたことや得たものってありましたか?
永 積:やっぱり自分にとっての音楽って特別にステージに上げられて「ワーッ!」って言われるような、そういうものではないと思っていて。そのとき弾くべき歌を唄いたいし、その場所が求めている音楽を演奏するのがいちばん大事なことだと思ってるから。そういうことを改めて知りに行ったというかね。それは自分を知るということでもあったなって。
Excite:ひとりだからこそ知れることというか。
永 積:うん。そういうときはスタッフも誰も連れて行かないでひとりで行ってたから。ライヴがはじまるまでの自分のテンションの持っていき方とか、ゼロからその場所を自分で組み立ててさ。本当はそういう作業のなかに全部、その瞬間を知るヒントがいっぱいあって。でも、音楽っていろんな人が関わってくるとその分いろんなことをしてもらえるから、そのヒントが要約されていくでしょ。
Excite:ああ、なるほど。
永 積:もちろん、そういう環境だからこそ行ける場所やできることももちろんあるから、一概にどうこうというわけではないんだけど、自分にとってはそういう環境に身を置くことが続くと本来の自分を見失う気がするんだよね。だから、ひとり旅のようにライヴをすることで自分の根本的な音楽への取り組み方を再確認したかったというのはある。
Excite:そういう時間を経て、完成したのがこの新曲「光と影」で。流麗なメロディと〈闇の向こうの光を見に行こう〉というメッセージがゆっくり融和しながら、音楽の力、歌の力を実感できるようなすばらしい曲だと思います。
永 積:ありがとう。
Excite:僕はこの曲が初披露された『100万人のキャンドルナイト「Candle Odyssey2008」』でのフリー・ライヴを観ることができて。あの日、この曲が鳴らされた瞬間に、そこにいるすべての人が自分の孤独と対峙しているような気がしたんです。それがすごく印象的だった。
永 積:それはうれしいね。基本的に自分はどの曲も人にこう捉えてほしいという気持ちは全く無くて。歌詞は全部自分に向けて書いたりとか、誰かに置き換えたとしてもごく身近な人間の“ある瞬間”だったりするのね。だから、曲が人にどういうふうに伝わるかは僕がどうこう言うことではないと思うんだけど、とにかくキャンドルナイトの前日、「光と影」を作ったあの瞬間に僕が自分に伝えたいことというのは、今を切り抜けるために闇を見続けることが唯一の希望なんだということで。
Excite:あのイベントの前日、この曲を書いているというより、何かに書かされているような感覚もあったと聞きました。
永 積:うん、全然迷いがなくて。一気に書いたね。そういう感覚があったのは、いままでも「サヨナラCOLOR」とか何曲かだけだけどね。でも、そういう曲が書けただけで幸せで、十分というかね………酒でも呑む?なんつって(笑)。
Excite:あはははは。でも、本当に永積さんが書くべくして書いた曲なんだなってすごく思う。
永 積:あのとき、自分の心情的にはバタードッグの解散が決まったりして、何かが終わって切り替わっていくクライマックスと、同じ時期に秋葉原の大きな事件(2008年6月8日に起こった秋葉原通り魔事件)があったり、時代が大きく変わっていくような気配が重なって。
Excite:確かにあの事件以降、今の時代の空気の重さが決定的なものになったと思う。
永 積:うん。そんなときに自分は安易な喜びとか、慰めによりかかるのは怖いことだなと思ったんだよね。むしろ、自分自身をもっと極めて強くならないと、今の時代は生き抜けないような気がした。だから、〈闇を見に行こう〉って唄いたくなって。で、その闇の向こうには光があると信じたいと思った。安易な癒しや慰めではなく、自分の闇に向かうことで本当の意味で楽になれる光がその先にあるんじゃないかって。うん……そういう曲です(笑)。
Excite:無闇に明るい応急処置的なメッセージが溢れているなかで、〈闇を見に行こう〉というフレーズはすごく貴重だなと思った。
永 積:うん、そういう表現に触れることによって自分の実感が奪われていくような気が俺はすごくするのね。“悲喜こもごも”って言うでしょ? いろんな感情がごちゃ混ぜになってるからこそ闇から抜け出た瞬間に自分だけの感動を感じられるわけじゃん。その感動があるからこそ、例えば今日の酒一杯をワクワクしながら呑めるわけで。そこを安易にユルく「OK、大丈夫、大丈夫」って言われると俺は感動のレベルが引き下げられるような気がするのね。
Excite:うんうん。
永 積:俺は喜びも悲しみも含めて全部自分で感動を味わいたいから、誰かに「これはこういうもんだよ」って答えっぽいことを言われるのは違うんじゃないかと思っていて。これからの時代は、一人ひとりが自分だけの感動を苦労しながら見つけることが必要だと思うから。だから、あのタイミングで、キャンドルナイトでライヴがやれるってなったときに自分なりの花火を“ドカーン!”って打ち上げたかったんだよね。
ハナレグミ
Excite:アレンジもいろんな可能性があった曲だと思うんですけど、ストリングスや鍵盤、コーラスが入ったことで曲がより大きく、開かれた感じになりましたね。
永 積:ハナレグミは基本的に全曲弾き語りで成立するんだけど、それを今回のシングルとアルバムで次の段階までもっていこうとプロデューサーのオオヤくんと話して。今までは「せいの!」って一発録りで、その場のテンションを録音できればOKという感じだったんだけど、それをもう一度詰めていくというか。そうすることによって曲の響きがどれだけ変わるのかも知りたくて。
Excite:新しい試みですね。
永 積:そう。「光と影」は別のバンドで3回ぐらい録ったりして。録る前は弾き語りか、打ち込みにするかっていう話もあったし。そうやって彩りを変えていきながらも曲の体温は変えずにどれだけのことができるのか見てみたくて。最初に録ったテイクが昨年の10月か11月ぐらいだったんだけど、年が明けてからもう1回唄いたくなって録り直したんだよね。そしたら、自分でも驚くぐらい、感動的なぐらい唄い方が違っていて。前はもっとライヴ的というか、「ウォー!」って感じで唄ってたんだけど、何度も聴ける歌になったというか。
Excite:普遍性が増した?
永 積:そうそう、自分なりの普遍性ってこういうことかなって思えたんだよね。そういう部分でも新たな旅に出るような意味合いが「光と影』と今度のアルバムにはあって。
Excite:アルバム、一足先に聴かせてもらいましたけど、『光と影』も「永積くん、相変わらずバカやってるなあ、楽しいなあ」って思う曲も温度差なく共存していて。そこにグッときましたね。
永 積:そういう音楽でありたいと思うしね。『光と影』だけだと見せられない景色の彩りがあるからアルバムを作れたと思うし。『光と影』だけだとエッジの利いた鋭い表現なんだけど、でもそれもあくまで生きる上での一色、一端なんだってことだから。まあ、生きるなんてデカいこと言うのは照れくさいんですけどね!(笑)。
Excite:(笑)いや、でも本当にそういうことだと思うから。
永 積:なんかね、今回は照れくさいことを言っていかなきゃいけないアルバムになったんだよね! 35歳になっても顔を赤くしながら、照れくさいことを語らないといけないんですよね〜!(笑)。
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