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ASIAN KUNG-FU GENERATION インタビュー
ASIAN KUNG-FU GENERATION×NADA SURF スペシャル対談
93年にニュー・ヨークで結成された3ピース・ロック・バンド、NADA SURF(ナダ・サーフ)。長いキャリアにも関わらず、なんと昨年が初来日! それを実現させたのが、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの主催する【NANO-MUGEN FES.】だった。来日をきっかけに交流を深め、最近リリースされたNADA SURFのカバー・アルバム『if I had a hi-fi』では、日本盤ボーナス・トラックとしてアジカンの「ムスタング」を収録。再び日本を訪れたメンバーのマシュー・カーズ(Vo,G,)、アイラ・エリオット(Dr)と後藤正文が対面、お互いの音楽に対する印象や、それぞれの曲作りについて話してもらった。

(取材・文/小倉怜、撮影/土居政則)


Excite まずNADA SURFとASIAN KUNG-FU GENERATIONの出会いについて改めてお伺いしたいんですが。
後藤 彼等のことを知ったのは僕等がまだ学生の頃だったんだけど、当時は“ポスト・ウィーザー”みたいな紹介のされ方で。でもそれ以降、新しいアルバムが出ても、なぜか日本ではほとんどプロモーションされなかったんですよね。それからかなり月日が経って、『The Weight Is A Gift』というアルバムが出て、買って聴いてみたらものすごく良くて。その一つ前の『Let Go』もすごく良かった。で、「なんでこんなに良いアルバムを出してるバンドが日本に来ないんだろう?」と思って、洋楽のイベンターさんに打診してみたんだけど、やっぱり日本での知名度があまり高くないこともあって、実現が難しいみたいだった。だからこれは自分達で呼んだ方が早いなと思って、バンドにコンタクトを取り始めたんです。
マシュー ずっと日本に行きたいと思ってたから、ゴッチ(後藤)からのオファーはすごくありがたくて、嬉しかったよ。カリフォルニアのバンド、オズマと仲良しなんだけど、来日したことのある彼等からも「日本は素晴らしいよ! アジカンもすごく良いバンドだからよろしく言っといて!」と言われたし(笑)。実際に来日した時も大勢のオーディエンスを前に演奏できて、アジカンのライヴもすごく良かった。
Excite アジカンの音楽を聴いてどう思いました?
マシュー 彼等がこれまでに出したCDを山のようにもらって聴いたんだけど、どれも良い曲ばかりだと思ったよ。僕がアジカンの音楽の何が好きなのかというと、まずゴッチの書く歌詞がすごく好きなんだ。ちょっとした瞬間の中に、悲しみや落ち込んだ気持ちと、それでも前に進もう、頑張って生きていこうっていう二つの感情を組み合わせている。この二つはとても普遍的なもので、誰もが経験することだよね。しかもそれをただ組み合わせるんじゃなくて、そこにとても繊細な描写があるから説得力があって、聴いてる人が共感出来るし元気をもらえる。感受性とストイックさ、悲しみと勇気、そういうものが同時に存在してるところがすごいと思うんだ。
後藤 …ものすごく歌詞を読み込んでくれていないと出ないコメントだと思うので、とても嬉しいですね。
Excite 後藤さんはカヴァーされた「ムスタング」を聴いてどうでした?
後藤 まず曲がすごく長くなってましたね(笑)。でも完全にNADA SURFの曲として成立していたので、やっぱりアレンジがすごく上手いなと思ったのと、僕達がブリッジ部分に使っていたメロディーがサビとして使われていたのには驚きました。あと少年ナイフのカバーも良かったし…個人的にはスピッツの「空も飛べるはず」のカバーがとても好きで。スピッツは日本でもとても大きなバンドだし、感慨深かったですね。スピッツもNADA SURFもすごくメロディーが良くて、それを支えるようにサウンドが組み立っているところが共通していると思うし…両方とも好きなバンドなので、日本のファンも喜ぶんじゃないかな、と思ってドキドキしました。
マシュー まず「ムスタング」が原曲よりも長い件についてはごめんね!(笑)僕も普段は短い曲の方が好きなんだけど、元の歌詞を出来るだけ全部入れようとしたら長くなっちゃったんだ。スピッツの曲だけど、あれはいわゆる“ポップのクラシック”とも言える曲だね。定番と言っていい素晴らしいメロディーを持った曲で、やっててとても楽しかった。アレンジとしては60年代風にした…かな?
Excite 今回、カバーしているアーティストは国も時代もバラバラですよね。
後藤 日本では余程の音楽フリークじゃない限り、あそこに入ってる全てのバンドを知っている人はいないですよね。僕もそうだし。だからほとんどNADA SURFのオリジナル・アルバムとして聴いたんだけど、あれをきっかけに色々調べてみたら原曲のバンドも面白いのがたくさんあって。特に日本の若いリスナーはカバーとか考えずに普通に楽しめると思いますよ。
マシュー アメリカでも同じだよ。原曲のアーティストはあまり知られてないのが多いんだけど、それは意図したことでもあって、有名な曲が入っているとリストを見ただけでなんとなく想像がついてしまうじゃない? 聴いた時に驚きや新鮮みがないのは嫌だったから、あえてあまり知られていない曲を選んだんだ。
Excite デビューしたばかりのバンド、ザ・ソフト・パックの曲を選んでいるのにちょっと驚いたんですが、新しい若いバンドには刺激を受けますか?
マシュー もちろん。例えば、昔の偉大なバンドのレコードを聴いて興奮しても、彼等のライヴはもう見に行けないし、まだ活動していたとしても当時のような演奏は聴けないかもしれない。でも今のバンドは気に入ったらすぐに生の演奏を聴きに行けるんだから刺激的だよね。ザ・ソフト・パックは友人に教えてもらったんだけど、すごく良いバンドだし、こういう若いバンドが出てくるとまだまだ音楽は面白いと思えて、ワクワクするよ。
後藤 僕はどっちかというと完全にリスナーとして聴いてしまうので、自分が刺激を受けているかというと分からないけど、でも例えば日本のロックとかでも、みんなが今、何を面白いと思ってるのかはすごく気になる。話題になってるバンドのライヴに行くと、その盛り上がってる理由が分かるし。日本海外問わず、みんなが何を面白がってるのか知るのはとても重要なことだと思う。
マシュー それはすごい大事だと思うよ。それに…ちょっと違うけど、音楽だけじゃなく、新しい植物とか動物でも(笑)話題になってるものを見に行くのって世界と繋がってる気分になれるよね? 例えばリアーナの「Umbrella」みたいなビッグ・ヒットの曲を自分も良いと思えた時って「大衆と同じものに感動出来てる! 僕は引きこもりのオタクじゃない!」みたいな(爆笑)。
後藤 (笑)。
Excite 以前、マシューが「自分はいつもコーラスばかり書こうとする癖があって、コーラスに使わなかったメロディーがバースになってる」と話してくれたのが印象的でした。
マシュー うーん、全部がサビになってしまうのは、その方が簡単だし、書いたメロディーがキャッチーじゃないと覚えていられないからっていうのもある(笑)。結果的に全部の曲がキャッチーになってしまって、逆にそれがこのバンドの欠点にもなってるかもしれない…というのも、例えば、ワイアーの曲で「Map Reference 41°N 93°W」というのがあって、バースなんか本当に滅茶苦茶で色んな方向に行ってしまうんだけれど、その分サビに来た時に、ガツンという衝撃があるんだ。そういった部分が足りないかもしれないよね。
後藤 僕は逆に、コーラスを書くのがあまり得意じゃなくて、いつもバースから作ってしまうんですけど。最近はしばらくヒップホップに入れ込んでたんで、自分でリズム・トラックとかを組んでから、その上にライムを乗せていく…ラップではなくて歌なんですけど、そういう作り方をしていました。曲を作る手法っていうのはその時々で違っていて、説明のつかないものですよね。でもキャッチーじゃないと覚えていられないっていうのは、分かる。忘れちゃうくらいのメロディーだったら、やっぱり良くないというか。
マシュー ヒップホップを良く聴いてるというのは面白いね。実は僕もそうなんだ。若い時は曲の構成が全て合ってないといけないと思ってて、1番と2番のメロディーは同じで、サビの部分は歌詞をちょっとだけ変えるとか、歌詞も全体で意味が通じてないと、とか。でもヒップホップを聴いたら歌詞の内容は1番と2番で全く違うし歌ってる人も違うし。自由で、何でもありなんだ、って思えた。僕達も次のアルバムでは、リズムの部分から曲作りを始めようかと思ってたところなんだよ。ゴッチの方が先を行ってたね(笑)。
アイラ・エリオット 僕もこれまでは、自分のドラムがメロディーの邪魔にならないように、メロディーを生かす演奏を心がけてたんだけど、リズムから曲作りに入るということは曲の骨組みの部分をドラムが担うわけで、そうなると叩き方や取り組み方も変わってくるんだろうなと思ってるよ。
Excite ナダ・サーフは今年の【サマーソニック】での再来日が決定してますが、後藤さんは昨年、彼等の演奏を初めて生で聴いて、いかがでしたか?
後藤 とても素晴らしいライヴだったし、観客を巻き込むエネルギーに満ちているところがすごく良かった。初めての日本であれだけの大観衆を乗せられるメンタリティもすごいし、場数が違うんだなって思いましたよね。音源で聴いていた以上に、アメリカのカントリーっぽいトラッドな部分を強く感じて、温かい気持ちになれました。まあそういう細かい分析よりも、僕はやっとライヴが見られたっていう感動で興奮してたんですけど。
マシュー ありがとう。日本のオーディエンスは演奏中は乗ってくれて、曲が終わるとすごく静か。最初はそれに戸惑ったんだけど、あんな大きい会場でみんなが曲に集中して真剣に聴いてくれるなんて奇跡だ。僕達も心をこめて演奏しなきゃと思った。【サマーソニック】には以前からツアーのサポート・メンバーとして参加してくれてる、キャレキシコのマーティンも一緒に来てくれる。彼はギターもキーボードもトランペットも操るすごい人なんだ。昨年は3人だったけど、今年は彼も加わって、より厚みのあるライヴを見せられると思うよ。
NADA SURF Q&A
Q:音楽を始めようと思ったきっかけは?
おばがフォーク・ギターを弾く人で、彼女が僕の父にギターをプレゼントしたんだけど、父は興味がなかった。だから僕がもらった。すでにロックが好きだったからね。(マシュー)
両親が音楽好きで、家にはいつも音楽が流れてた。母はアマチュアだけどシンガーでもあったし、姉はビートルズの大ファンでポップ・ラジオをよく聴いていたしね。小さい頃におもちゃの鉄琴を買ってもらったんだけど、もうその頃からちゃんとメロディーっぽいものを弾いたりしてたから、親も音楽の才能があると思ったみたいだよ。10歳の時にドラムを買ってもらって、それからずっと叩いている。(アイラ)
Q:初めて買ったレコードは?
ジャクソン5の3枚組。(マシュー)
KISSの『Alive!』。75年だよ。(アイラ)
Q:初めて行ったコンサートは?
80年にセントラル・パークでやったサイモン&ガーファンクル、たぶん(笑)。(マシュー)
サウスサイド・ジョニー&ジ・アズベリー・ジュークス。ロバート・ゴードンがオープニングだったんだ。ニュー・ヨークのパラディアムで。(アイラ)
Q:読者にメッセージを!
みんなイカしてるよ!(笑)(マシュー)
レコードや雑誌を買い続けて! 手に取れる商品にお金を払うことは、投票と同じなんだ。それがなくならないための、署名運動みたいなもの。だから、CDを買い続けて欲しいと思うよ。(アイラ)
NADA SURF PROFILE
NADA SURF
Matthew Caws マシュー・カーズ(Vo. & G.)
Daniel Lorca ダニエル・ロルカ(B. &Vo.)
Ira Elliot  アイラ・エリオット(Dr)

ニューヨークの高校の同級生だったマシュー・カーズ(Vo.& G.)とダニエル・ロルカ(B. &Vo.)はいくつかのバンドを経て1993年NADA SURFを結成。その後、アイラ・エリオット(Dr)が加入して1996年、Weezerなどのプロデューサーとして有名なリック・オケイセックを迎えてデビュー・アルバム『High/Low』リリース。“ポストWeezer”と賞されメディアの注目を一身に浴びた彼等であったが、その後現在に至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。

2ndアルバム以降、紆余曲折ありつつも2002年発表の3rd『Let Go』や、4th『The Weight Is A Gift』などで、彼等の質の高い音楽性と精力的かつ誠実な活動展開に本国アメリカにおいて再び評価の気運が高まる。

そして待望の5th『lucky』をリリース。

【NANO-MUGEN FES.2009】で待望の初来日。

そして09’7.22には渋谷GUILTYで初単独ライブが行われた。

2010年5月最新アルバム『if I had a hi-fi』をリリースしSUMMER SONIC 2010 にて再来日が決定。
『if I had a hi-fi』 <新譜情報>

New Album
『if I had a hi-fi』
2010/05/26リリース
KSCP-935
¥2,520(税込)

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<関連リンク>
NADA SURF オフィシャルサイト
NADA SURF レーベルサイト
NADA SURF プロフィール

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