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NEXTHIT! Vol.01 a flood of circle

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Interview with a flood of circle

がむしゃらに踊る、ロックの“希望の光”!

昨年5月から今年3月にかけて計5枚のシングルをリリースするなど、怒涛の勢いで活動を続ける4人組ロックバンド、school food punishment。エレクトロニカ、ポストロックから、フォーク、Jポップまでを網羅したスピーディかつ幻想的なサウンド世界は、既に多くのリスナーを魅了している。そんな彼等がついに1stアルバム『amp-reflection』をリリース。既発シングルを網羅しつつ、アルバムならではの立体的でダイナミックな音世界を築いた本作は、彼等にとっても飛躍作であるに違いない。メンバー自身が「より開かれたものを求めた」と語る本作が完成するまでのプロセスとは? 内村友美(Vo.&G.)、蓮尾理之(key.)の二人に訊いた。


(取材・文/神谷弘一[blueprint]、構成/橋川良寛[blueprint]、スチール撮影/中村泰介)

Excite 1stシングルの『futuristic imagination』から、3月に発売されたばかりの『future nova/after laughter』まで、6曲のシングル曲が収録されたアルバムですが、通して聴くと、全体にとても統一感がありますね。シングル制作時から、アルバムの構想があったのでは?
蓮尾

基本的には、アルバムに対する明確なイメージはなくて、シングルはその時々でガムシャラにやっていました(笑)。ただ、シングル曲の分量が増えると、アルバムとしてまとめづらくなるのは事実で、どうやってバランスを取れば良いか、ということはモヤッと考えていましたね。

内村

すごく明快に分かっていたのは、2009年からの一年の集大成になること、そしてschool food punishmentの名刺代わりの一枚になるだろうということで。その中で、シングル曲が多くなったので、アルバム用にもシングルに負けない、“通して聴いて飛ばされない曲”をと考えたんです。シングルとは別の切り口で、強い楽曲を作る。試行錯誤の連続で、最後まで大変でした(笑)。

Excite

シングルにはアッパーでインパクトのある曲が多いので、アルバム制作の上では、緩急をつけることも大事だったのかな、と。

内村友美(Vo.&G.)
蓮尾

そうですね。ただ、シングル曲の派手さを引き立たせるための地味な曲を作ってしまったら、それこそ飛ばされてしまう。なので、別の意味で振り切った曲を作ろうと。実際に、どの曲もこだわって作りました。

内村

アルバムの制作自体、かなりアップアップだったんです。この一年間は、ライヴをしながら曲作りをして、レコーディングをして、リリースのプロモーション活動をしながら、次の曲作りに入って……という感じで。そこに来てのフルアルバムだったので、どうしても俯瞰では見られないし、スタッフの力も大きかったと思います。インディーズの3枚目からずっと同じチームで動いているので、信頼関係が出来上がっていて。バンドとしては主観で走り切って、その上にスタッフの客観性があって出来たアルバムですね。

Excite

1曲目の「signal」、2曲目の「goodblue」は共に新曲ですが、アルバムの序盤をグッと盛り上げてるし、結果的にしっかりまとまったアルバムになっていますね。完成したものを聴いて、手応えはどうでしたか?

蓮尾

マスタリングの時まで曲順で悩んで、みんなの意見をまとめながら決めたんですけど、実は最初のうちは、しっかり「アルバムを作ったぞ」という感覚ではなかったんです。けれど、通して何回も聴いて、こうして取材で感想を聞かせて頂く中で、ちゃんと一つの作品になったんだな、という手応えを感じるようになりました。

内村

私も後から、という感じです。気付いてみれば、楽曲が同じ方向を向きながらそれぞれに個性を出していて、ある意味ではコンセプチュアルなアルバムになったなって。信じてきたものが間違いではなかったんだな、と感じています。

Excite

このアルバムに収録された楽曲達は、どんな方向を向いていたんでしょうか?

内村

全ての曲が、この2年間くらいで生まれた曲なんです。その間の私は、自分が受け入れたくないものや、受け入れてこなかったものを飲み込んでみよう、というモードだったんです。「イヤだ」で済ませずに、まずは受け入れて、その都度結論を出しながら、前に進んで来たんですよね。そして、私達の音楽を聴いてくれている人達の顔が見えたことで、「自分は発信をしているんだ」という責任を感じるようにもなって。そういう部分が、歌詞にすごく出ていると思います。

Excite

バンド活動を始めた頃とは、内容が変わってきたと。

内村

そうですね。今の歌詞と比べると、以前の歌詞はその時の気持ちが全てで、自己満足が大きかったと思うし、明確な結論を必要としない内容というか、「どうしよう?」で終わるものが多かったんです。でも、今回は、「こう考えていて、それにはこれが問題で、だからこうするんだ!」という前向きさが出ている曲が多くて。

Excite

確かに、<未来>や<光>、<未知の晴れ間><世界は変わる>など、まだ見ぬ何かに向かっていく気持ちが表れたフレーズが多いですね。

蓮尾

特に、昨年の10月に『sea-through communication』というシングルを出した辺りから、バンドの姿勢としてもそうだし、内村が書く歌詞もずいぶん変わったと思います。綱渡りでやってきたバンドが、多くの人の前で演奏する機会を得て、「もっと開いたものにしなければいけない」という想いが出てきたんですよね。そうして迷いながらも、必死で積み上げてきたアルバムなので、きっと今後、同じような作品は出来ないでしょうね。

Excite

5曲目の「電車、滑り落ちる、ヘッドフォン」は、情景が見えるようでどこか幻想的だし、生々しいようで現実離れした感覚もある、不思議な曲ですね。

内村

小説が好きで、これを書いたのは一番読んでいた時期なんです。小説っぽい曲が書きたくて、必ずしも自分自身のことではなく、“あまり恋愛経験のない子が、初めて本当に好きになった人を失った”というテーマを設定して、物語を膨らませていきました。私はミュージカル映画を観て歌を始めたので、元々演じて歌うのが好きなんです。ジュリー・アンドリュース(イギリスの女優・歌手)のように、声色だけで生々しい感情を表現出来る歌い手になりたいですね。

蓮尾理之(key.)
山崎英明(B.)
蓮尾

僕等は“歌ものバンド”でありたいと思っているので、歌詞がしっかり響いて、歌が前に出た音楽をやっていきたいんです。

Excite

ちなみに、楽曲はどんなふうに作っていくんですか?

蓮尾

それが、結構バラバラなんですけど、パターンで言うと、曲を短いセクションごとに区切って、バンドでセッションをしながら歌詞とメロディを付けていく、ということが多いかな。そうやって、出来上ったセクションから練っていく、という感じです。

内村

何パターンか歌ったものを録っておいて、みんなで意見を出し合って良いものにしながら、次の展開を考えていく、という。その積み重ねで大枠を作って、全体を見ながら作り上げていく、というのが王道です。

Excite

かなり時間がかかりそうですね。バラバラだということは、今は違う作り方もするようになった?

内村

そうなんです。インディーズの頃は、メロディが浮かぶまで延々と続けたりもしていましたから。デビューしてからそれだけの時間をかけて作ることは、なかなか出来なくなって。なので、セッションは最初に少しやって、ダメだったらすぐに止める。でも、録音だけはしておいて、移動中なんかに聴き直しながらコツコツ作っていたり、良さそうな部分を打ち込みにして、デモにして送り合ったり。最近では、蓮尾くんがイメージしたものを打ち込みで全編作ってきて、そこでメロディやアレンジを話し合う、ということもあります。

Excite

そのことで、楽曲自体はどんなふうに変わりましたか?

内村

メロディに関しては、「こっちとこっち、どっちが良い?」という作業ではなく、最初から全体を見通して“みんなで生み出していく”ことが増えていて。「line」(M-11)という曲のメロディは蓮尾くんと一緒に作ったし、「future nova」(M-4)はベースの山崎(英明)さんがサビを作って、さらにプロデューサーからアイデアをもらったんです。そうやってメロディを整理してもらうと、自分のクセが分かるんですよね。普段は歌わないようなフレーズになるので、歌い手としてのスキルも上がっていると思います。

Excite

最後に、リスナーにはこの力作をどんなふうに受け取ってもらいたいですか?

内村

シングルが多い、という印象はやっぱりあると思うんですけど、シングル曲もアルバム曲も一つのピースで、パズルのように構成されたアルバムになりました。一枚の作品として楽しんでもらえたら嬉しいですね。

蓮尾

サウンドにもこだわったので、細かいギミックにも注目して欲しいです。「コミュニケーションをしっかり取って、周りの人と繋がって行きたい!」というメッセージを、元々はそういうことが苦手なメンバーが伝えているのも面白いと思います。なかなか開いた気持ちになれない人にも聴いてもらえたらなって。

内村

そうそう(笑)。コミュニケーションが上手な人が「出来るって!」と言っても、「あなたはね」と思ってしまいがちですよね。「苦手だけれど、挑戦しないのはもったいない!」という想いで歌っているので、きっと共感してもらえると思います。

蓮尾

『amp-reflection』というタイトルも、自分達は“アンプ”として、インプットしたものを増幅して放出していきたい、そして、反響したものをもう一度取り込んで……という意味でつけたもの。5月21日の名古屋から、初めてのワンマン・ツアーが始まるので、こちらも楽しみにしてもらいたいですね。初めて聴いても、絶対に楽しめるライヴにします!

比田井修(Dr.)
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