YUKI インタビュー

私の中に伝えたい事があるのならば、それをメッセージとして伝えるべきだと

以前、YUKIさんは「歌の中に私自身の主張は入れなくても良い。私は、歌と聴いてくれる人の橋渡しをするツールだから」と言っていたことがあるんですけど、新作『megaphonic』は、メッセージ性が強い作品になりましたね。

今回のアルバムの歌詞は、1番が震災前、2番が震災後に書いたものがほとんどなんです。これまでの私は、いわゆる“トピカル・ソング”といわれるような時事的な曲を歌いたいと思わなかったんですけど、大きな変化があった時期にレコーディングをしていたこともあって、意識をしなくても自分の気持ちが作品の中に入りました。今回のように無意識に出てきた言葉ならば、それを拒否する必要はないし、私の中に伝えたい事があるのならば、それをメッセージとして伝えるべきだと思いました。

今作からは、「人は自分が思っているよりも強いんだよ」というYUKIさんの想いが伝わってきました。その想いが歌詞にある“笑顔”や“笑う”という言葉に繋がっていったのでしょうか?

「笑いとばせ」は、かなり前に作っていた曲だったんですけど、“笑いとばせ”という歌詞ができた時に、「この想いを、今、鳴らさなくては!」と思ったんですね。私は自分自身を笑い飛ばせるような強さが欲しいし、明るい気持ちを持って、できるだけ爽快に、笑顔でいたいと思っています。

今回の歌詞には、その想いが反映されているんですね。あと、“帰ろう”という言葉も、歌詞の中に何度も出てきます。

そうなんです。「マイ・プライヴェート・アイダホ」にも<帰るのは君の胸>と書いているし、「集まろう for tomorrow」でも、<場所なんてどこでもいいから 帰ろう>と書いている。『うれしくって抱きあうよ』の頃から、帰るところというのは場所ではなくて人なんだ、その人が亡くなってしまったとしても、帰るところが場所ではなく人ならばいつでも帰ることができるんだと、何となく思っていたんです。今回のアルバムではその想いをようやく歌詞にすることができました。

「集まろう for tomorrow」の<不安は不安を呼び 愛は愛を呼ぶ>という歌詞も、とても印象的でした。

負の連鎖が恐ろしいと思ったんです。不安のパワーは強過ぎるし、放っておいても勝手に人の中に入り込んでくる。だったら私は安心パワーを広げようと思いました。そのために私は身体を使って、頭を柔らかくして、もっともっとできるはずだと自分にも言い聞かせています。今回のアルバムは甘い気持ちになれるラブ・ソングが少ないんです。それは、今、私が聴きたい歌は楽しくなれたり、元気になれる歌だったからだと思います。聴いてくれる人たちが、私のメッセージを受け取って、歌を口づさんだり、笑顔になったり、楽しい気持ちになってくれたら嬉しいです。

次のアルバムは明るくて力強いアルバムにしたいと漠然と考えていたんです

「マイ・プライヴェート・アイダホ」はロード・ムービー的な歌詞ですけど、<ポテトも忘れずに>の部分は、思わず笑っちゃいました。やっぱり、アイダホと言えばポテトですもんね!

もしかしたら、これは日本人だけの解釈なのかもしれないと思って、ちゃんとアイダホのことを調べたんですけど、アイダホはやっぱりポテトを押してました(笑)。この歌詞に出てくる“ジャック”も、実際にアイダホにいる人なんです。ジャックはポテト畑を持っている大地主で、アイダホNo,1のお金持ちなんですよ。

今作には、80’sロック、エレクトロ・ポップ、ウェスタンなど、いろんなタイプの曲が収録されました。

『うれしくって抱きあうよ』を作っていた終わりの頃から、ギターの音が恋しくなっていたので、当初は新しいアルバムには大きな会場にギターの音が鳴り響くような曲をたくさん入れようと思っていたんです。でも、まだまだ可能性を広げたくなって探っていたら、いろんなことに挑戦したくなってしまった。きっと、もっと体を動かしたくなってしまったんでしょうね(笑)。

『megaphonic』には“最高の音”“最大級の音”という意味があるそうですね。

昨年のツアー中から、次のアルバムは明るくて力強いアルバムにしたいと漠然と考えていたんです。そこには、普段の私が出ているアルバムではなくて、ステージ上の私というイメージがあったからなんですね。ステージ上の私はいろいろな魔法が掛けられて、私一人ではできないこともできるし、小さな声がどんどん大きくなって、もっともっと響かせることができる。焦点は、今の自分が楽しいかどうかにあるけれど、私は決して自分のためだけに歌っているのではなく、私が歌うことで誰かが楽しくなるのならば、いくらでも私は歌いたいと思っています。だからこそ真剣に笑い飛ばすこと、気持ちを強く持つことを、私は歌でやりたかった。そういう想いから、“強い”とか“大きい”というキーワードが自然と生まれてきましたし、みんなのパワーをもらって、ステージ上で大きくなっている私をひと言で表す言葉は何だろうと探したら、“megaphonic”という言葉が出てきたんですよ。

10月からは全国アリーナ・ツアー【YUKI tour“MEGAPHONIC”2011】がスタートします。

昨年のツアーは、細かな部分にまで演出が施されていたライヴだったので、曲によってはお客さんに着席して聴いてもらうシーンもあったんですけど、今回のアリーナの会場でのライヴは、思いっきり、自由に楽しんでもらえるライヴになると思います。ずっとYUKIを感じていてもらえるライヴにしたいので、余計な演出はありません。すでに準備は整っているので、あとはライヴをやるだけです(笑)。