エキサイト さらけ出しソングのもう一つの究極が「泣ぐ子はいねが」。地元秋田を、両親のことまで一節にして、歌ってしまったという。
高橋優
秋田って良いところなんですよ。でも秋田の良いところを答えられる人って、あんまりいないじゃないですか。横手焼きソバぐらいのもんで。
エキサイト すいません(笑)。きりたんぽ鍋を食べた記事のとき([レポート]高橋優ときりたんぽを食べながらツアー打ち上げをやろうじゃないか!)、初めていぶりがっこを知りました。
高橋優
いぶりがっこは美味しいですよね。でも他にも美味しいものはいっぱいあるんですよ。あっ、べつに僕は秋田の観光大使になろうとしているわけではないけど(笑)。個人的に秋田が好きって気持ちだけはあるんです。でも好きという気持ちを曲にしたこともなかったなって。当たり前のように「泣ぐ子はいねが」は出来ましたね。
エキサイト 今回のアルバムは、そうやっていろいろなテーマにスポットを当てながらも、全てが自分自身なんですね。
高橋優
そうですね。他者と関わるための自分の解放というか。自分を素直に見てもらうっていう。人にどう映るんだろうってことを気にしていないんですよ。まず自分の全部をちゃんと見せる、心を開ききる。それがアルバムの自分のテーマにもなっています。
エキサイト もともと歌い始めたのも、そういう気持ちからでしたよね。人に聴いてもらう機会が増えるにつれ、どこか人目も気にするようになった時期も?
高橋優
最初のときから人を信じるより疑うほうが簡単なだけに、いろんな人達を疑っていたと思うんです。ここまで歌わないと分かってもらえないだろう、分かりやすいメロディにしないと聴いてもらえないだろうって。全部、自分で完結させてから人に見せようっていう。それは攻撃される恐れがあるから鎧を着ていこうって意識からだったと思うんです。歌詞にも如実に表われているんですよ。インディーズで出した『僕らの平成ロックンロール』の1曲目「鯱」は、これから鎧をまとって闘いに行こうって歌なんですね。だけど音楽は闘いじゃないと思ったんです。いかに心を開いて、いかに人と打ち解けられるか。結局、敵は外にいなかった、自分との勝負だったんですね。闘わなきゃいけないのは、いつもビクビクしている自分だったんです。でも今回のアルバムは、そいつじゃない自分もいっぱい出ているんです。まずは心を開いて、これも自分、こっちも自分ですって。そして完結させないで曲に余白を作ろうと。そこに意見でもいいし、文句でもいいし、褒め言葉でもいいし。聴いてくれた人からの何かをもらって、そこからまた何かが生まれて、次のアルバムとかシングルになるかもしれない。一人だけで何かやっていこうと思ったって、できやしないんですよ。そういう想いに至ったんですね。
エキサイト 心の闇も形にできたことは、自分自身を認められた曲とかアルバムですか?
高橋優
ある種の自信、人間=高橋の吹っ切れた感があると思います。これでいいのかなという気持ちが今はないんですよ。これでいい、と思ってます。心を開いていこうって。人の言っていることに耳を傾けて、自分も正直に意見を言おうって。その考えに自信が持てたから、サウンド面にも自信が持てるようになったんです。歌とメロディラインさえありゃ、いいって。僕は高橋優というソロシンガーだから、そこを聴いてもらおうと。より聴いてもらいやすいようにバンドサウンドも入れてあるんですが、僕の声、詞、メロディラインさえ聴いてもらえば、きっと届くはずだと思っています。
エキサイト ツアーも、この記事が掲載される頃にはライヴハウスツアー【BREAK YOUR SILENCE】が終わって、7月下旬からはホールツアー【BREAK OUR SILENCE】がスタートします。
高橋優
ホールツアーの内容は現時点では完全には見えてませんけど、よくできるはずだっていう漠然とした自信はあります。あと、みんなの顔を見に行くこともツアーの一つの醍醐味なので、どういう表情で聴いてくれるのか、僕は客席を見ていると思いますし。またライヴの空気を僕が吸うことによって、新しい曲へのアイデアも生まれてくると思いますし、このアルバムに全てを注ぎ込んだので、今はもうアイデアがないですから。全てが本気のツアーですよ。