ブラジル発世界行きの大ヒットラテン曲を日本語でカバーした「VIVA! Nossa Nossa」でファンの腰をノッサノッサと揺らした遊助がニュー・シングル『檸檬』をリリース。前作から一転、春風を運ぶような爽やかなトラックに伸びやかなメロディーが乗った表題曲は、人生の厳しさを笑顔と愛情でくるんでメッセージする、実に遊助らしい人生アシストソングだ。今回はそのタイトル曲に込めた想いはもちろん、カップリング曲すべての制作背景をインタビュー。シングルに先行して到着した『Music Video Collection ~2009-2012~』から思い出に残る作品もピックアップしてもらった。
エキサイト 新曲「檸檬」はTBS系ドラマ『終電バイバイ』の主題歌ですが、これはドラマ側からオファーがあって作られたものなんですか?
遊助
いや、違うんです。もともとあったものに声をかけていただいて。本当は2年前から出来ていた曲なんです。
エキサイト そんなに前からあったんですか。
遊助
2年前の夏に甲子園を観ながら作った曲です(笑)。予選大会とか甲子園のダイジェストとかを観ながら、自分が携わってきたものに似合うような曲を自分なりに解釈して作ってみようかと思って。
エキサイト タイトルの「檸檬」という言葉は歌詞に出てきませんよね。タイトルはどんな想いから付けたんですか? 
遊助
単純に俺は黄色いものが好きだし、これまでの流れを汲んで黄色いものを考えていて。で、曲が出来たあとになぜか檸檬畑が思い浮かんだんですよね。最初はタイトルがついてなかったんだけど、主題歌に決まって「急遽作って」となった時に「檸檬!」と言っちゃったっていう(笑)。
エキサイト ついつい口走っちゃった(笑)。
遊助
まあ、汗もしょっぱいし酸っぱいし、涙もしょっぱいし酸っぱいし。生きている中で出会う苦難とか別れとか哀しみ…乗り越えなきゃいけない壁みたいなものが、その人の人生にとってスパイスになったらいいなっていう意味を込めて檸檬にしたんです。乗り越えた壁だったり、反対に壁から逃げちゃったことでもいいんだけど、そうやって自分がやってきたひとつひとつのことが自分の人生にとって欠かせない隠し味になったらいいなという想いを込めて檸檬にしました。
エキサイト 檸檬は、人生の辛酸と人生を豊かにする調味料、ふたつの例えなんですね。
遊助
はい。甲子園に出場している若い子を見て作ったけど、いくつになっても苦難っていうのは出てくるものだから。それとどういう風に向き合うか、どういう風に受けとめたら楽かなっていうことを書いてみたんです。なんか、作っている時に壁に四方をふさがれて動きが止まっている人が見えたんですよね。
エキサイト 野球を観ている時に?
遊助
はい。野球を観ながら、「曲の主人公はどういうヤツにしようかな?」って考えていた時に、ちっちゃい男の子がでっかい壁に四方を囲まれてキョロキョロしてる、おとぎ話のワンシーンみたいな絵が見えて。で、男の子は泣いてるんだけど「バカバカ、待て待て、上があいてるだろ」って。それで<笑顔を見せてさぁ/涙を拭いたなら/見上げてみな空>っていうフレーズが出てきたんです。
エキサイト すごく覚えやすいメロディーを持った曲ですが、テンポはミディアムだし、この曲っていい意味で派手さはないですよね。
遊助
そう、着飾った感じじゃないトラックを選んだというか。だからこそパンチのあるメロディーと、しっかりした歌詞が必要だと思ったんだけど、かと言って暑苦しい応援歌になるのも嫌だったから、そのバランスを気にしながら作ったんです。「夢は絶対かなうさ」とか言いたくなかったし。この曲はそんなことを言いたいんじゃないから。
エキサイト 夢をかなえる手前には壁があるんだっていうことですからね、今回の曲がスポットを当てているのは。
遊助
はい。絶対あるから、壁は。生きてる限り。
エキサイト “壁は絶対乗り越えられるはず!”みたいな安直な前向きさじゃなくて、“壁はあるんです!”を前提にしたところに、むしろ温情を感じました。
遊助
むしろ夢はかなわないくらいだよっていうね(笑)。その中でも未来が見えるような応援歌が作りたかった。とにかく鬱陶しくなるのは嫌だったんですよね。“僕”って言えるような曲にしたいなと思ってて。
エキサイト “俺”でもなくてね。
遊助
そうですね。“私”でもなくて。歌詞に一人称は書いていないけど、でもそう思ってたから、小さい男の子が壁に囲まれている絵が浮かんだのかも。
エキサイト ミュージック・ビデオはドラマ仕立てになっていますね。これはどんなところにポイントを置いて作ったんですか?
遊助
「夢は絶対かなえさせないでください」って言ったんです(笑)。
エキサイト あはは! 
遊助
最初、登場する人の夢が全部かなってたから。受験合格、試合優勝、お母さんも笑顔…でも、絶対それはダメって言いました。俺が言いたいのはそんなことじゃない。失敗させてくださいって。
エキサイト ハッピーエンディングにしないでと。
遊助
はい。生活の中のささいなこと…息子が弁当を全部食ってくれただけでクスッと笑えたとか、コンビニでバイトしていたら、たまたま可愛い子がお客さんに来てイエイみたいな、そういうことを描いてください。俺が言いたいのはそこだからって。
エキサイト 遊助さんの出演シーンもありますが、あの雪景色は本物なんですか?
遊助
それ、みんなに言われるんですけど、あれは本物です。東京にすごい雪が降った日があったでしょ。あの翌日に撮影してたんですよ。あれ、本当に奇跡ですからね。最初はCGで白い地面のシーンにするって言ってたんですよ。そしたら奇跡的に雪が降って。じゃあ、そのまま雪景色を使おうって。
エキサイト ミュージック・ビデオといえば、2月13日に『Music Video Collection ~2009-2012~』が発売されましたが、特に思い入れの強い作品は?
遊助
「ライオン」は初監督だったから特に思い入れが強いですね。「俺なりのラブソング」も自分で監督やったけど楽しかったし、どれも思い入れはあります。
エキサイト 「これはもう二度と撮れないだろうな」と思う作品は?
遊助
「全部好き。」かな。これは思った以上に簡単に見えるっていう(笑)。
エキサイト ん? どういうことですか?
遊助
このビデオはカメラを長回ししていて、外国人の女の子がセットの中で踊っているんだけど、途中、イラストで描いた小道具の車が走ってきたり、家の中に入ったりするんです。その小道具はみんな、スタッフたちがカメラに写らないところに隠れながらいろいろ動かしていく撮影方法。だけど、車をカメラに近づけたところに出しちゃうとでっかい車になっちゃうし、家のドアが開いて女の子が入るシーンも女の子がカメラから遠くにいって小さく見えるようにして、ドアを開けるタイミングも合わせなきゃならない。そういうタイミングと立ち位置を合わせていくのがすごく大変で。立ち位置が1ミリずれただけで小道具に隠れて見えないとか。その大変さが視聴者にあまり伝わらなかったっていう(笑)。
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エキサイト しかも、それを長回しで撮っているからよけい大変!
遊助
そうなんです。曲の終わりかけ、もう4分何秒なのにそこで失敗すると全部やり直しっていう。もう、どんだけ手間暇かかってると思うんだ?って感じです。
エキサイト じゃあ、そんな制作の苦労も想像しながら今一度DVDで観ていただければと。
遊助
ぜひ。想像以上に大変だったんですよって。カメラに映ってないところで大の大人たちが相当右往左往してますよって(笑)。