エキサイト お二人は「パイオニア」のミュージック・ビデオで共演されているんですよね。
高橋優
はい。「パイオニア」という曲のミュージック・ビデオを撮影するにあたって、タイトルの通り、パイオニアな人、またはパイオニアになりそうな可能性を秘めた人に出演してもらいたいと思っていたんです。それでスタッフから、「栗城さんはすごいメッセージを持って生きている方だ」と聞いて、これまでの活動を拝見したのですが、まさしくパイオニアだと。ぜひ栗城さんに出演をお願いしたいと思いオファーさせていただきました。
栗城史多
登山している映像がミュージック・ビデオで使われたことはあったんですけど、自分が出るのは初めてだったのでびっくりしました。高橋さんは札幌で活動していたと聞いて、僕も北海道出身なので親近感を感じて。それに、何度かミュージック・ビデオを拝見したこともあったので、ぜひやってみようと思いました。
エキサイト 「パイオニア」=開拓者というキーワードで出会ったお二人ですが、今回は「あなたが切り開きたいこと、夢、目標は何ですか?」というテーマでユーザーからTwitterを通じてメッセージを募集しました。いくつかピックアップしていきながら、お二人のお話を聞かせていただければと思います。では最初のメッセージから。
■恵さん
内気で内向的な自分を切り拓きたい‼ 空気を読み過ぎて上手くコミュニケーションを取れない自分を変えたい。自分の大切な人にもどこか壁を作ってしまうので、自分が傷付くことを怖がらずに、相手を信じて受け入れたい。周りの人を心から愛せるように、自分を愛せる人でありたい。
高橋優
そこまで自己分析できているなら問題ないと思いますね。だって、空気を読みすぎているか読みすぎていないかなんて、誰にも本当のところはわからないはず。空気を読みすぎていると自分で思うってことは、よほど人の顔色をうかがっていたり、その場の雰囲気を自分なりに考えているってことだと思うんですよね。だからもう十分だと思います。たとえば友達ともっと仲良くなりたいなら、仲良くなるための自己分析を進めていただければ。
栗城史多
「自分が傷付くことを怖がらずに」とありますが、僕、嫌われるのも大切だと思うんですよ。どんな人でも苦手な人っていると思うし。人の顔色をうかがいすぎて、それがストレスになって自分が出せなくなったり、自分が楽しめないと負のスパイラルに陥ってしまうと思うんですよね。僕は電話がすごく苦手で、聞いていない留守電がたまっていたりする。……人間不信なんです(笑)。僕、すごく嫌われるんですよ(笑)。
エキサイト (笑)。いや、それは大きなことをやり遂げられていて、やっかみもあるでしょうし、目立つ存在だからだと思いますよ。
高橋優
人を簡単に嫌う人って、嫌われ者が多いと思います。だって、一緒にご飯食べていて、その相手が苦手だからと、それをすぐに態度に出すような人はどう考えたって人から好かれないですもん(笑)。人から好かれる人ほど人を好きだと思いますしね。栗城さんはそんなこと言っても、絶対にたくさんの人に好かれてると思うし、恵さんも、そんなに空気を読める人であるならば、もうすでに相手から好かれているんじゃないかなって気がします。
栗城史多
なるほど、たしかに。ただ、大切なのって、自分が心地よくいられるかどうかだと思うんですよね。人に気を遣いすぎてダメになっちゃうこともあると思うし、過度に気にしないように、自分が自然体でいられるといいですよね。
■しろさん
何をやっても中途半端な自分をどうにかしていきたいです。自分に甘くなさそうなお二人に、自分についつい甘くなってしまう場合は、どうされてるか? お聞きしたいです。
高橋優
僕はこれは考え方だと思うんですよね。しろさんは、自分に厳しくしなきゃいけないって思っているのかもしれないけど、一つのことが上手な人とか、お金を稼ぐのが上手い人って、その物事にハマっているってことだと思うんですよ。ストイックに自分の身を犠牲に、汗水血を流してっていうよりは、それを楽しんでハマっている人が成功しているような気がする。だから、自分が楽しいと思うことを“ちゃんと”楽しむっていうことが大切なんじゃないかと思うんですよね。楽しいと思えることを一つでいいから中途半端にしなければ、面白くなるんじゃないかな。「成功するためには何かを犠牲にして、失敗を繰り返して」といった先人の言葉は話半分くらいに思って。世の中には楽して成功している人もいますよね。でもそれは楽しているのではなく、ちゃんと楽しんで、そのことに打ち込めているんだと思うんですよ。
エキサイト 栗城さんはどう思われますか? それこそ、緊張で張り詰めたストイックな状態で山に向かっているのではないかと思うのですが。
栗城史多
もちろん山登りには厳しい部分がすごくあるんですけど、自然は厳しいだけじゃなくて、優しい表情もしているんですよ。人間はストイックにならなきゃいけない時期もあると思うんですけど、だらっとしたり、何も考えていない時に良いアイディアが降ってくることもあると思うし。ずっとスイッチオンにしていると壊れちゃうし、ストイックになりすぎる必要はないんじゃないかなって思いますね。無理しちゃうのはよくないと思うんですよ。
エキサイト 厳しく険しい山を登りきって、朝日を見ると心がふと和らぐとか、そういう経験も?
栗城史多
そうですね。僕は“山を感じる”ということをすごく大切にしていて。一生懸命頑張るぞ、登るぞっていう時はあるんですけど、そこしか見えていないと怖いんですよね。山登りでは“執着しない”ということを心がけているんですけど、目標を持って頑張りながらも、客観的に自分を見る必要もあって。客観的に見ることができていないと、気づいたら下山できなくなっていたり、危険な状況になっていることがあるので。心の余裕が重要だと思いますね。
高橋優
栗城さんのおっしゃったことって、登山じゃなくても当てはまりますよね。客観的になれないで生きている人がどれだけ多いことかっていう。自分も疲れていると、つい客観的な視点を持てなくなっていることがあって。“成功させなきゃ、成功させなきゃ”って思えば思うほど上手くいかなかったり。心の余裕はたしかに大切ですね。命を賭けて山を登っている栗城さんが心の余裕を語ってくれると嬉しいですよね。僕も救われました。
■caoriさん
知らず知らずに身に纏ってしまった鎧を脱ぎたい。少しずつでも良いから。 そして全ての人・物・出来事に心から愛と感謝を持てるように、幸せに気付けるようになりたい。そうすれば世界中が幸せになるはず。自分の人生のパイオニアになるのが目標です。
高橋優
身に纏った鎧を……って、ジャンヌダルク!って感じですけど(笑)。
エキサイト なんだか深いですねぇ。
栗城史多
深いですよねぇ。一言、「鎧を脱いで!」と言ってあげたいですね(笑)。
高橋優
彼女も、この文章の中でもう解決している気がしますよね。「自分の人生のパイオニアになるのが目標です」と具体的に書いてあるので、そのままでいいと思います。突き進んでください!
■ぼくりきさん
いつか、父のように障害者のアルペンスキーチームと関わる仕事がしたい。 コーチである父を超えたい。日本中に障害者スキーを広めたい。たくさんの人に障害者スキーを知ってもらいたい。カッコイイって知ってほしい。
エキサイト 先日、オリンピックとパラリンピックが開催されましたが、パラリンピックはNHKで中継はあったものの、ワイドショーなどではほとんど取り上げられていなかったですよね。
高橋優
本当ですよね。もっとメディアが取り上げるべきだと思うんですよ。だから、ぼくりきさんには、ぜひその道のパイオニアになってほしいです。日本でオリンピックと同じくらいパラリンピックがフィーチャーされれば、彼の言っている世界になる。そういう意味でまだ誰もパイオニアになっていないから、彼にはぜひ切り開いてほしい。気づいた人が魅力を伝えていくことって絶対に大事だと思うんですよ。
栗城史多
パラリンピックもオリンピックと同時に行われたらいいなって思いますね。そんな時代がいつか来るとは思うんですけどね。昔にくらべたら参加する人も増えてきたし、NHKで放送するようになったと思うので、もっと広がっていったらいいなと思います。
エキサイト ぼくりきさんはお父さんを尊敬しているところが素敵ですよね。
栗城史多
そうですよね。お父さんをカッコいいと思えることってすごく重要で、子供はお父さんの背中を見て育つと思うので、そう子供に思わせるぼくりきさんのお父さんは素晴らしいと思います。
■ちえさん
二人の可愛い息子たち。怒ってばかりだけど、謝りたいことばかりだけど、これからの二人の素敵な未来をきりひらく助けを少しでもしたい。8歳の長男の夢はゲームを作る人、6歳の次男の夢は宇宙飛行士。どうか少しでもその夢が長く続きますように。
高橋優
お母さんが夢を応援してくれるケースって少ないですよね。子供が宇宙飛行士になりたいって言ったら、驚くお母さんのほうが多いと思うんですよ。夢は持ってほしいと思いつつ、自分の子供のことになると心配だし、安定した道を進んでほしいって思うから。ちえさんには、自分の幸せを意識しながら、まっすぐにお子さんを応援してあげてほしいですね。
栗城史多
夢って否定しちゃいけないと思うんです。僕は夢は遠いゴールではなく、人間が生きていくための根源だと思っていて。木の根っこにたとえると、幹が成長して枝になって、その枝が途中で折れてしまっても、そこから枝分かれしてまた新しい枝を生やしていくと思うんです。つまり、夢を持ち続けていることで、たとえその夢が叶わなくてもそこから違った方向に進むこともあると思うんですよ。お母さんは息子さんの夢を信じ続けてあげてほしいです。それは素晴らしい愛じゃないかなと思います。
高橋優
本当にそうですよ。一人だけでも夢を応援してくれる人がいて、それがお母さんなら最高ですよね。応援してくれる人が一人いるのといないとじゃ全然違いますから。ぜひ息子さんのその一人になってあげてください。ちなみに、栗城さんのお父さんは栗城さんに対してどうおっしゃっているんですか?
栗城史多
僕は大学3年生の時に初めてマッキンリーに登ったんですけど、そのとき、周囲は反対していたのが、出発直前に本当に行こうか迷っている自分に、父が「信じているよ」って言ってくれて。それはすごく嬉しかったですね。父はいまだに僕の夢を信じ続けてくれていて、だから頑張れているし、力になっています。