歌に導かれて今日の吉岡聖恵があるのだ、と感じた。ガムシャラにシンガーになるために走ってきたわけではなく、生まれ出る以前から音楽に触れ続けてきただけ、という彼女は常に歌の傍に日々を過してきた。「だって、歌うことしかしてきていないんですよ」と彼女は笑顔を見せる。不思議なくらいなのだ、と。例えば、歌以外の他の目標、他の夢を思い付くこともなかった彼女は、呼吸するのと同じようにいつも歌を口ずさんで、ただ歌と共に生きていただけ。いきものがかりの楽曲を聴くと、メロディと一体となった歌声が映画を見ているのかと錯覚させるほどに楽曲の持つ表情を伝えてくる理由。それは彼女が歌と共に生きてきたからなのだ、と感じる。歌に導かれたシンガー・吉岡聖恵の『桜咲く街物語』に至るまでの物語のような日々のことを、彼女自身の言葉から共に振り返る。そこから滲むのは、吉岡と“歌うこと”の蜜月の時間。 |