1stアルバム『HEART』には、これまでに発表されたシングルも何曲か入っているんですけども、アルバムで聴くと違った印象もあって、ひとつのストーリーのある作品になっていますね。完成したものを聴いてどうでしたか?
今までは「1stアルバムはどういう感じにしようか?」「ファーストアルバムはきっとこんな感じなんだろうな」と想像していただけなんですけど、形になったものを聴いてみて、等身大の自分を表現できたかなと思います。
アルバムの制作はいつ頃からスタートしたんですか?
レコーディングは9月の終わりくらい映画「NANA2」の撮影で行った、スコットランドから帰ってきてすぐに始まって。そのずいぶん前からもうデモの曲とかをいただいたりして、「アルバムのコンセプトは、こういう感じにしたい」という打ち合わせもしたんですけれども、実際のレコーディングは9月の終わりくらいで、最終のマスタリングは11月の終わりでした。その間は色々なことを同時にやっていたので、バタバタしていた気はするんですけど(笑)、そんなに急いで作ったというわけではないですね。
コンセプトの話が出ましたけれど、どんなアルバムを作ろうという話し合いをしていたのですか?
スタッフの皆さん、プロデューサーさんとも話していて、「由奈はどういうテーマのアルバムにしたいの?」って言われて、「私はいつも色々な“愛”について歌っているので、アルバムでも色々なシチュエーションの愛について歌っていきたい」と言いました。もうちょっと身近な、普段の私を表現したかったですね。
より普段の自分を出す、と。“愛”と言っても色んな面がありますよね。色んな経験をされていると思うし、色んな想いがあると思うんですけれども。
そうですね。愛には色んなテーマがあって。
これまでのシングルでは、由奈さんの愛のイメージはすべて表現されたわけではない?
そうですね。今は、1stアルバムだけで全ての愛を表現したとも言えないです。まだまだいっぱいあるので、たぶん死ぬまで愛についての曲だけを歌っていっても、人生足りないかなと思うんですよ。
歌いきれない、と。
そうですね。色んなシチュエーションがあると思うので。
ここ何年かで歌手として多くの人の前で歌うようになって、10代の頃と比べて、愛についての考え方は変わってきましたか?
そうですね。アルバム・タイトルについても「可愛すぎる」とか色んな意見が出たんですけど、私はどうしても『HEART』にしたくて。というのは、10代の頃、自分の“HEART”の状態は完璧だと思っていたんです。「恋愛はこうで、友情はこうで、家族はこうで、こういう愛はこうで」って、一つひとつの愛について、しっかり自分のイメージがあったんですね。でも23歳になって、とくに恋愛は違ったし、友情についても、初めて「“Fragile”なんだな」と気づいて。『HEART』を作りながら勉強になりました。
愛というものが完璧ではないということは、すんなり受け入れられました?
最初は、自分の“HEART”が完璧じゃないって気付いて、ちょっとショックだったんですよね。色んな愛について、自分のイメージは違ったかな?って。でも、よく考えてみると、全部イメージ通りにいったらつまらないんですよね。だから、完璧じゃなくてもいいんじゃないか、って思うようになって。
完全じゃないけど認められる、というか。
そうですね。
“HEART”という言葉にも深いニュアンスがあると思うんですけど、日本語で言うと?
やっぱり“心”とか“愛”ですね。ハートマークのイメージで聴いてくださっても、全然OKです