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20th anniversary interview -Sawao Yamanaka-

山中さわお 独占ロング・インタビュー

今年2009年は、the pillowsにとって、結成20周年となる記念すべき一年に! 2月に行われたアコースティック・ツアーを始め、6月3日に同時リリースされる2枚のベスト盤、同じく6月からスタートする対バン・ツアー、そしてthe pillowsの結成日である9月16日に行われることが発表された初の日本武道館公演(!)など、アニバーサリー・イヤーを盛り上げるべくスペシャルなイベント&リリースが続々と発表されている。そのフロントマンでありソングライターである山中さわお(Vo&G)は、果たして今、自らの足跡をどのように捉え、何を感じでいるのだろうか?独占ロング・インタビューを一挙掲載!

(取材・文/麦倉正樹)

Excite 年度も改まり、結成20周年のアニバーサリー・イヤーが、いよいよ本格的にスタートします。まずは、それに対する率直な感想から聞かせて下さい。
山中 うーん、そうだな…僕等の中では、今年の2月にやったアコースティック・ツアー(【20th Anniversary LATE BLOOMER SERIES 02 〜BLUE SONG WITH BLUE POPPIES〜】)から、そのアニバーサリー・イヤーの“企画もの”を楽しもうかなっていう感じだったので、そっから始まってたのかな?そのアコースティック・ツアーの選曲も、ちょっとノスタルジックなものが僕の中ではあったし。そうやって、何か色々楽しんで行こうかなっていう感じですかね。
Excite 「2009年は結成20周年です」と最初に聞いた時、どんなことを思いましたか?
山中 いや、ちょっと面倒臭いなと思ったよ、最初は(笑)。だってほら、もう15周年の時に、アニバーサリー・イヤーとしてやれることは大体やったので。トリビュート盤(※『SYNCHRONIZED ROCKERS』)も出してもらって、ヒストリー・ドキュメンタリーDVD(※『WALKIN' ON THE SPIRAL』)も出して。だから「もう、することないよ」って思って、気持ちとしては、段々派手じゃない方に向かって行ったのかな?とにかく、やりたいことをやろうっていう。で、まずは、ステージに飾る青いケシの造花にまでこだわり抜いたアコースティック・ツアーをやって。やっぱり、15周年の時は、そのアニバーサリーっていうものをきっかけに、すごく多くの人と出会えたと思うんだけど、今回は、多分そういう気持ちじゃないんだと思う。もっとノスタルジックな気持ちというか、僕等が20年間やって来たことを分かり易く振り返って、それを今の気分で楽しむっていう。20周年は、そういう感じなんじゃないかな?
Excite 15周年の時とは、色んな意味で気分が違うってことですよね。
山中 そうだね。15周年の時のことは、もうあんまり覚えてないんだけど(笑)。ただ、この5年で、またピロウズの立ち位置が変わったとは思うんだよね。さらに求められるようになったというか。色んな人がイベントとかフェスに誘ってくれるし、ライヴもほとんどが即完するので、何かこう…強気じゃないですか?やりたいことをやって、ホントに良いっていうか。志としてやりたいことをやるぜっていうのではなく、それをやって誰も損をしないっていう。まあ、そうじゃない時も、僕等は勝手にやって来ちゃってたけどさ(笑)。それが今は、ホントに堂々と、みんなが笑顔で好きなことを出来るっていう感じになってるから。それもあって、何か余裕があるのかな?これを何かのチャンスとして、ガツガツ行こうみたいな気持ちは、全く無いという。だから、割と地味な感じかな(笑)。
Excite 地味な感じと言いつつ、現時点では、ベスト盤2枚同時リリース、対バン・ツアー、そして9月16日の日本武道館公演が発表されているわけですが…。
山中 まあ、武道館は派手かな?ピロウズにとっては、とっても。で、対バン・ツアーについては、話題性とかよりもそのバンドと僕等の間に歴史があって、何かその夜、ちょっと良いお酒が飲めるんじゃないかなっていう感じのメンツになると思う(笑)。もちろん、素晴らしいバンドばかりだから話題性もあると思うけど、もっとそういうこと優先のメンツも、スタッフから上がってくるわけだよ。でも、「それは別にいいよ、やりたくない」って、俺が断っちゃうんだよね。それこそ、某洋楽大物バンドの前座をやらないかって話もあったんだけど、俺が断っちゃったし。何かそういうね、ヘタしたらスタッフがやる気を失くすぐらい、良い話でも断っちゃうから(笑)。
Excite スタッフ泣かせですね。
山中 でも、何か今ね、すごく俺は清々しい気分なの。今年はホントに、清々しい気分なんだよね。
Excite ここ数年、そういう感じが続いてるんじゃないですか?
山中 そうだね。でも、またちょっと違う側面で清々しいのかな?やっぱり、ロック・バンドなんだなっていうことを、良い意味で思い知ったというかさ。いわゆるヒット曲みたいなものは別にいらないっていうか。もちろん、ロック・バンドとして良い曲は作って行きたいんだよ?新曲とかも出来てるし、次はかなり攻めのアルバムになりそうだなっていうのはあって。そういう意味で、清々しい気持ちなのかな?自分がどういう音楽をやって来たか、そしてこれからやって行くのかっていうことも、冷静に分かって来たし、僕は僕の歌しか歌わないからさ。“山中さわお”という人を知らないと、何を歌ってるか分からない歌って結構多いと思うんだよね。そんな不親切な歌でヒットしようなんて無理だし。あと、良い話でも断っちゃうからさ(笑)。だから、ロック・バンドとしては、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいと思ってるんだけど、そのターゲットがもうハッキリ分かったっていうか、誰もが知ってるヒット曲みたいなものは、もう別に欲しくないっていう。そこが自分の中では大きかったかな。ようやく自分を受け入れたっていうか、もう、すっごい時間掛かってるんだけど(笑)。
Excite いや、結構な衝撃発言だと思います。
山中 あと、やっぱり、ロック・バンド的には、武道館で単独ライヴをやって、もし、そこに人が一杯入ったならば、まあ、昔なら頂点なわけじゃない?で、それはもう十分、理解者達に感謝してるっていうか、そういう気持ちなのかな。
Excite なるほど。
山中 まあ、武道館は思い出作りだからね。僕にとっても、来る人にとっても。日常的にやる感じでは無いし、リラックスしてもやらないと思うからね。
Excite 2月のアコースティック・ライヴも、そういう感じでしたよね?
山中 そうそう。ちょっとオシャレして出掛けるみたいな感じっていうか、ちょっと無理して高い店に行ってみたっていう。「まあ、一回ぐらい、良いじゃない?」って(笑)。俺は普段でも今までの人生の経験上、記念日がどうだとかって頑張らないのよ、全然。もう、自分のことに関してはホントにスルーっていうか。そういう感じで、まあ来たわけですよ。でも、やっぱり、ちゃんとオシャレしてさ、普段行かないような店に行って乾杯とかしたら、「感動するんじゃないの?」っていうか、「そういうのも必要なんじゃないの?」っていう20周年なの(笑)。
Excite なるほど(笑)。
山中 「ちゃんと、楽しもうよ」っていう。だって、このタイミングもスルーしちゃったら、俺、ホントに(佐藤)シンイチロウ君とか真鍋君に対して感動とかしないもん、全く。そこはちゃんとセッティングしてくれないと(笑)。っていうか、今回やらなかったら、多分、一生やらないと思うからね。「今やらなくて、いつやるんですか?」って話なわけでしょ? 30周年で出来ると思うなよっていうのもあるし(笑)。だから、そういうものにちゃんと乗っかって、自分の人生に感動したいのかな?ちょっと、かしこまってさ。
Excite では、せっかくの機会なので、ちょっとだけピロウズの歴史に触れて行きたいのですが・・・。さて、どっから振り返ったものでしょうね。
山中 や、めちゃめちゃあるからね、ピロウズの歴史は。だから、どっちかって言うと、ピロウズの歴史については、「15周年のドキュメンタリーDVDを観て」って感じなんだけど。そこに全部入ってるから(笑)。
Excite では、質問を変えます(笑)。この20年の間で、ピロウズにとってポイントとなるシーンをいくつか挙げるとするならば?
山中 いや、そんなのも、めちゃめちゃあるって。まず、僕が前のバンドを解散させて、ピロウズのために上京したっていうこと。あと、4人でスタートしたんだけど、上田ケンジが抜けたっていうこと。全く音楽性の違う、“第二期”ピロウズと呼んでいる、ジャズとかソウルとかをやっていた93年から95年ぐらいの2年間の時期があったにもかかわらず、96年の「ストレンジ カメレオン」で急展開して来たこと。まあ、「ストレンジ カメレオン」については、もう何回もしゃべって来たけど、ピロウズっていうのは、割とメンバーがお互い会話をしないシャイな関係で来ていてさ。でも、「ストレンジ カメレオン」の時に、ガッチリとお互いの覚悟を知ったんだよね。レコード会社とか事務所とか、申し訳無いけど仲間に入れてあげられない3人だけの世界というか、もう誰に否定されても、この「ストレンジ カメレオン」で行くっていう。そこでガッチリ一つになれたことは、僕にとってもすごく大きかったし、それでダメだろうと思われた「ストレンジ カメレオン」が評価されたことも、もちろん大きかったし。そっからは、ずっと調子良いからね。
Excite そこからが、一応、“第三期”になるわけですが…その“第三期”に入ってからも、結構長いですよね。
山中 そうだね。“第四期”は、もういらないよ(笑)。
Excite (笑)。その後で印象的なシーンってありますか?
山中 あるある。さっき言った15周年のトリビュート盤とか。あとは、アメリカ・ツアーかな?あれは、全く予想してなかったことだからね。2005年に初めてツアーでアメリカに行って。それは衝撃的だったよ、何となく行ったら、初めて着いたテキサスの道端で声を掛けられたりとか、ニューヨークが2日間ソールドアウトになってたりとかして。それは対バンする地元のバンドの人気だと思ってたんだけど、違ったからね。全部、僕等の客だったから。
Excite ある意味、すごく新鮮だったんじゃないですか?
山中 でもね、それはみんなが想像するようなリフレッシュ感とは、ちょっと違うんだよね。多分、トリビュート・アルバムと一緒で、過去の自分に対するご褒美っていうか、ずっと認めてもらえないジレンマがあったのに、本来僕が認めて欲しいような人達に認められていたことを知ったというか。それは、何か僕の価値を証明してくれるものだなって思ったし。やっぱり、すごく大きかったかな。
Excite では、この20年で、音楽的に“変わったこと/変わってないこと”と言ったら、どんなことがあるでしょう?
山中 そうだな。ピロウズは面白いバンドで、変わろうとも思ってないし、変わるまいとも思ってないのね。それは、セルフ・カヴァーを聴いてみたら、一番良く分かると思うんだけど。敢えてアレンジを変えようってことは絶対に無いし、変えないようにしようっていうのも無いのね。もちろん、ライヴでやっているうちに自然と変わっちゃったみたいなのはあって。その程度の変化のセルフ・カヴァーが、今度出るベスト盤にも入ってるんだけど(笑)。
Excite 歌詞については、どうでしょう?ピロウズの歌詞と言えば、未だに「ストレンジ カメレオン」のようなものの印象が強い人も多いと思いますが。
山中 まあ、悪ふざけみたいな歌詞も好きなんだろうけど、それはライヴで楽しむ感じで。僕の歌詞の世界が好きっていうと、シリアスで、ダークサイドな感じだよね(笑)。
Excite その系統の歌詞は、今でも時折出て来ますよね?
山中 それは、変えようとか変えまいとか何も計算してないので、出る率が多かったり少なかったりはするんだけど。
Excite あの頃の気分が、未だに色濃く残っている?
山中 うーん。言ってもさ、人格形成をする青春時代とかがあるように、ピロウズというバンドの人格形成をする青春時代っていうか、バンドの歴史として、そういうのが大きく残ってるんじゃないかな?それは別に、あと10年経とうと変わらないっていうか、何かしらその時期に、ミュージシャンとしての人格形成みたいなものを味わったというか。自分から滲み出るもの、そしてバンドで形にして完成させたものに対する揺るぎなき自信と、それに見合わない評価のギャップに苦しむっていう。
Excite そういう歌詞が、割と時間差で響いて来るのも面白いなと思っていて。そう、「Funny Bunny」の話(※昨夏、漫画『SKET DANCE』に「Funny Bunny」の歌詞が引用され話題になった件)も、結構ビックリしましたよ。
山中 あ、そうそう、『少年ジャンプ』で。そうなんだよね(笑)。
Excite それこそ、Mr. Childrenがトリビュート盤でカヴァーした「ストレンジ カメレオン」じゃないですけど、昔の曲が時間差で響くことに関して、山中さん自身はどのように感じているのですか?
山中 単純に嬉しいよ。何かもう、「今さらかよ」みたいな気持ちも生まれないっていうか、そういう年齢でも無いっていう(笑)。『SKET DANCE』の件も、その作者の篠原健太君がライヴに来てくれて、単純に嬉しかったもん。もうホントに長いことやってるから、その時すぐに評価されなくて、時間を掛けて評価されたっていう経験をしてからも、もう長いんだよ(笑)。だから、すぐに判断されなくても構わないっていうか、とにかく自分で判断して、自分が信じた道を行けば大丈夫だと思ってるし、それを僕等はホントに証明して来たと思っているから。だから、そうやって過去の曲がまた再評価されるみたいなのは、普通にウキウキしますよ(笑)。「ああ、良かったな、ありがとう」って。
Excite そう考えると、ピロウズの歴史というのは、決して“マイペース”という言葉で語り切れないものがありますよね。
山中 うん。それは『RUNNERS HIGH』の頃によく感じてたんだけど、マイペースってさ、みんなゆっくりな方向だと思ってるんだよね。でも、あの頃は俺、全然違ったもん。もうアホみたいに曲が出来てさ、早くレコーディングしなきゃ、この新鮮なアイディアが消えてしまうんじゃないかっていう恐怖があって。もう「アルバム2枚録らせろ!」みたいな感じだったし、実際、99年は『RUNNERS HIGH』と『HAPPY BIVOUAC』っていう2枚のアルバムを出してるんだよね。曲が出来ない時は出さない、出来る時は出すっていう感じで。でも、出来ない時っていうのは、あんまり無かったかな?だから、もうホント、向いてるんだと思う。バンドとかソングライターってものに。だって、未だに俺、新曲作ったら、一刻も早くメンバーに聴かせたいし、いっつも不安になるんだよね。今、死んだらマズイっていうか、アレにはアレを足すっていうアイディアがあるんだけど、それまだメンバーに言ってないよとか。まあ、録り終わってから死んでもマズイんだけど(笑)。でも、毎回、それは思うんだよな「このままじゃ死に切れない」って。
Excite 20周年を迎える今も、そういう感じっていうのは、ちょっとすごいですよね。
山中 だって、落ち着かないんだもん。自分の音楽に興味があって、興味があって、全然落ち着かないよ(笑)。
Excite アニバーサリー・イヤーとはいえ、今後リリースされるであろう新曲も、すごく楽しみですよね(笑)。
山中 まあ、それもあるから、20周年を素直に楽しめるんじゃないかな?そうじゃないとっていうか、才能が枯れたのを自分で感じてたら、何かひねくれて、「そんなアニバーサリーなんかやりたくない」とか、俺、言いそうだもん(笑)。もう、今ある新曲とか、その後に出るであろうアルバムを、きっとみんな楽しんでくれるだろうっていう自信満々な状態だからこそ、むしろ全然ノスタルジックなことをガンガンやりたいっていう。
Excite では、最後、そんなふうにスタートして行くアニバーサリー・イヤーに寄せて、ファンの人達にメッセージをお願いします。
山中 まあ、何て言うか、ファンに対しては何も無いんですよ、僕は。っていうか、もう「分かってんだろ?」っていう(笑)。そこは信頼関係がガッチリあると思うので、全然優しい言葉を掛ける気はないんだよね。そういうキャラとして接したくないっていうか、“S”のままの僕を優しく見守って、今後も付き合って欲しいなっていう(笑)。で、そういうのではない、半信半疑のグレーゾーンの人達に対しては、ホント、「いい加減分かってくれよ」っていうか、「もういい加減分かれ」ってことなんだよ(笑)。「Funny Bunny」だって、もう10年も前の歌だし、別に俺は地下活動をしてたわけじゃなくて、ちゃんとCDも売ってたし、普通にツアーもやってたんだよ?
Excite まあまあ(笑)。
山中 「どうして今までピロウズのことを知らなかったのか、すごく悔しいです」って、こっちが悔しいわっていう(笑)。
Excite じゃあ、そういう感じで、今後も引き続き、アニバーサリー・イヤーのお付き合いをさせて頂ければと思っております(笑)。
山中 はい、よろしくお願いします(笑)。
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