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総力特集 Vol.10 サンボマスター

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サンンボマスター フェイバリット10

山口隆、近藤洋一、木内泰史という、強力な個性の3人が集まって、サンボマスターというバンドが構成されているわけだが、バンドの魅力をさらに探っていくには、やはり個々にスポットを当てることが必要不可欠。この「フェイバリット10」では、メンバーにとって欠かせない、お気に入りをそれぞれピックアップしてもらった。ホント、3人ともバラエティに富んだアイテムや事柄を挙げてくれましたね〜。だからこそ、サンボマスターの密度の濃い音楽が出来上がるってもんです。では、3人の濃厚な「フェイバリット10」を、ご堪能あれ!!!
(取材・文/土屋恵介)

1、凄い人

凄い人は、とにかく可能性を広げてくれるんです。例えば、ショーケン(萩原健一)、マイルス・デイヴィス、勝新太郎、みうらじゅんさんもそうだな。凄い人は何が凄いかというと、損か特かを考えてなくて、どちらかというと自分にとって損なことをやる。それで、お金も無くなって、世間からも怒られるんだけど、そこでやったことが、とてつもないダイヤモンドだったりするんですよ。だから、そういう人たちは金脈なんですよね。音楽でも基本的にそう。サウンドも重要だけど、やっぱ人なんですよね。なんで僕が、サン・ラを毎日聴きたくなるかというと、曲の良し悪しじゃなく、あの人が出してる波動が、とんでもなく凄いから。それに、この人スゲーって自分の中で勝手に認定もできるとこも良いな。今、僕が凄いと思う人ですか?ずんの飯尾(和樹)さんは、感覚的に凄いと思うな。あの人が映画撮ったり、バンドやったらヤバいなと思ってますね。自分の中では来てます。あの人は金脈ですよ(笑)。(山口)

2、演芸

落語や講談だったり、今のエンターテイメントの王道ではなくなってる、日本に古くからある演芸がスゲー好きなんです。この間、小沢昭一さんのアナログ7枚組の中古盤で『日本の放浪芸』っていうのを見つけて、“がまの油売り”とかそういうのが入ってた。あれって、野原とかお祭りなんかで、お客を自分の方に寄せるわけでしょ。津軽三味線なんかも、一軒一軒、家を回るんですからね。あとは、奇術、音曲師とか、ああいうものにドキドキするんですよね。今は、エンターテイメントってもてはやされてるけど、昔の演芸は、芸としては蔑まされてて、誰もがみんながリスペクトしてたわけじゃないと思うんです。どこか殺伐としたとこもあるし。だからこそ、生きる厳しさも教えてくれてる感じがするんです。(山口)

3、原風景

僕には、地元の会津の冬景色が欠かせない。特に、冬のりんご畑に吹雪が吹き付けてる風景なんか、ほんと寂しい。凄く綺麗なんだけど、でもその綺麗さは、生き物を拒絶してる綺麗さなんだよなぁ。いくら僕らが綺麗だなんだと言っても、そこには生活の匂いとかが出ちゃうわけで。あの、自然の作り出す、厳しさをともなった綺麗さにはかなわない。あと、田舎の様式美も凄くって。例えば、親戚が「あそこのばあちゃん、危ねえんだよな」って言うのも、ほんとに悲しく言うんですよ。そこに耐え切れなかったから、僕はパンクやソウルミュージックに走ったんだけど。でも、それが無いと、僕は音楽が出来ない。空気が無いと空が飛べないのと一緒で、この空気が息苦しいからって、無くすわけにはいかないんですよ。東北の独特の原風景は、オレの中に強烈にあって、それが、自分の音楽の糧や肥やしになってますね。(山口)

4、東京

地元の厳しさから逃れたい。そうなると、やっぱり都会に憧れるんです。東京だけじゃなく、横浜も大好き。なんで僕が、クレイジー・ケン・バンドや、柳ジョージ、ショーケンのソロとかが好きかというと、港町が出てくるから。“僕はここから出てくよ”とか、凄く人が入れ替わるでしょ。でも会津は、ずっと土地にいっぱなし。何年も、同じ冬を過ごしてこの生活が続く。そうじゃないとこに、凄く惹かれちゃうんですよね。だからいまだに東京大好きですよ。かといって、渋谷とかは馴染めないけど(笑)。好きな場所は、浅草とか本所、泉岳寺、江戸情緒があるとこは好きですね。でも、麻布も好きですよ。それは、今のシャレてる空気があって、オレはそういうのも好きだから。まあ、飲みに行ったりはしないけどね(笑)。上の3つを経てきてるからこそ、
東京って良いなって思いますね。(山口)

5、帽子

オレは、朝起きてから5分ぐらいで出掛けたいんですよ。逆を言うと、出掛ける5分前まで寝ていたいんです(笑)。だから、髪型をセットするクセがつかなくて。朝起きて寝グセでグシャグシャになってても、パッと起きて出かけられるためにも、帽子は欠かせないです。(近藤)

6、野球

僕も、小学校の時やってたけど、やっぱり野球は最高ですよ。サッカーは、“代表選手”って言うのに、野球は、“全日本”ですよ(笑)。シリーズで優勝すると、“世界一”って書くのとか、ダサくて最高じゃないかって思いますね(笑)。オレの中でその対極が、なぜかハニカミデート(笑)。ハニカミデートが嫌いじゃなくて、ああいうのでほんとにハニカんでる男がバカだなと思うんです。あの価値観が全く分からない(笑)。そんなオレに、キラ星のごとく輝いてるのは、プロ野球選手。どう考えても、ガニマタの構えとかカッコ悪いじゃないですか。Jリーグが流行って、野球選手も金髪にしたら、みんなガラ悪くなっちゃってね(笑)。あの、思い通りにならない感が、凄く良いですね。あと、サッカーは世界一になってないけど、野球はなってますよね。ということは、上原やダルビッシュが、カカと五分のランクなんですよ。川上憲伸はエトー、荒木は足早いしマルティネスあたり。それくらい凄い人なんです。なのに、全日本って言ってるカッコ悪さ(笑)。最高ですね。(近藤)

7、要町

もう、10年くらい住んでるんですけど、良いところですよ。要町は、大学への通学の便が良くて選んだんですけど、バンドにとっても重要な場所。ファンクラブの名前も“要町ロックンロール”っていうんです。それは昔、ウチにみんな集まってたからなんです。僕も地元が栃木の田舎だったんで、夜7時になると一日終わるんです。何もやること無くて嫌だなと思ってて、東京来たら、なんて最高なんだと思いましたね。よく、東京出てきたけど、理想と全然違って挫折したって話あるけど、僕はそういうの全くないですね。貧乏しても最高ですよ(笑)。ただ、下北沢とか行くと、スゲー心が荒むんです。人ごみが嫌手なんで。その点、要町は閑静で過ごしやすくて、池袋も近いし、理想的な東京ですね。

8、柏

この際だから言っちゃいますが、オレほんとは、我孫子市民なんです(笑)。でも、柏って、色んな思い出があるんですよ。小学校4年生の時、岡山からこっちに越して来たんだけど、それから遊ぶ場所というと柏だった。今でこそ、ちょっとした原宿的に言われてるけど、昔はそんなこと無くて。駅前の丸井の地下のゲーセンがあって、そこ行くとカツアゲされるって話もあって、小学生だから怖いじゃないですか。そんな中で、ビビりながらやるゲームが楽しかったりして(笑)。それに高校も柏で、帰りは、バイト行くか、ディスク・ユニオンに行くか、そんな生活してましたね(笑)。あと、柏ALIVEってライヴハウスがあって、よく行ってました。そこで見たヌンチャクってバンドも、中学の部活の先輩だとか、高校の同級生が一緒に組んだバンドで、成り立ちから見てたし。何かと思い出があるので、オレにとっては大事な場所です。(木内)

9、マンガ全般

オレが一番好きなのは、少年誌、青年誌、オヤジマンガと言われるもの周辺です。小学校の低学年で、少年ジャンプを知ってから、マンガの世界にどっぷりハマって、今でも読んでるし、これからも読み続けるでしょう。今は、大人になった分、色んなものが買えるようになって、昔よりさらにハンパ無く読んでます(笑)。面白いマンガを見つけた時の喜びは、“スゲーバンド見つけたぜ”、“スゲーCD買ったぜ”って喜びと全く一緒ですね。小さい頃から読んでるから、自分の考え方も一番影響受けてますね。オレの中で一番デカいマンガは、土田世紀の『編集王』。あの人のマンガがメチャ好きで、色々と読んだけど、あの人が書きたいことって、芯が通ってて、どれも根底に流れてるものは一緒なんですよね。熱いし温かいし凄く優しい。でも現実の厳しさもきちんと描くんです。汚れた世界だけど、やっぱり理想を持ってないといけないんだってとこにも、影響受けましたね。ほんと、日本のマンガって素晴らしいですよ!(木内)

10、支えてくれてる皆様方

やっぱり、スタッフはじめ、リスナーの皆さんは欠かせませんね。今、オレらがこうして音楽活動をやれてるのは、オレらをオレらとして知ってくれてる人がいるからこそ。例えば、レコード会社の皆さんは、オレらの音楽を認めてくれて、それを世間の皆さんに聴いてくださいっていうのを、色んな形で宣伝してくれてる。それで知ってくれた皆さんが、ライヴに来てくれたり、CDを買ってくれたりする。そういう人たちがいなかったら、オレらは、ただの3人のサンボマスターってバンドでしかない。今、オレらがこうしてあるのは、そんな色んな人たちのおかげ。それを忘れちゃいけないなって、強く思いますね。(木内)

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