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総力特集 Vol.10 サンボマスター

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『音楽の子供はみな歌う』   『音楽の子供はみな歌う』 全曲解説
 

<収録曲>

01.光のロック
02.揺れるラブマンのテーマ
03.愛することのすべて
04.少年エレクトリック
05.very special!!(アルバムバージョン)
06.オルフェvsグッバイハイスクール
07.グッドモーニング センチメンタルウーマン
  08.ひかりひとしずく
09.21世紀少年少女
10. 春なんです
11.青春のベル鳴りっぱなし
12.新しい朝
13.I Love You(アルバムバージョン)

2008年を、しょっぱなから豪快にブッ飛ばしてくれるような、サンボマスターの4作目のニューアルバム『音楽の子供はみな歌う』。前作『僕と君の全てをロックンロールと呼べ』では、一部からは“難解だ”なんて声も上がったそうだが、新作は、そんなことさえも軽く一掃してしまう、フルスロットルで疾走していくロックのパワーみなぎる作品である。『揺れるラブマンのテーマ』『オルフェ vs グッバイハイスクール』『青春のベル鳴りっぱなし』などなど、タイトルから切れ味抜群の楽曲について、レコーディングのエピソードや裏話を交えながら、メンバーが全曲解説だ!!

(取材・文/土屋恵介)

01.「光のロック」

大革命をやってみたいなと思って、この曲を作りました。まぁ、大革命といっても、全然権力の無いものだけど(笑)。結果、 アルバムを象徴するような1曲になったので、1曲目に持っていきました。(山口)
やっぱり、新しいアルバムで、僕らの新しいものを見せたいじゃないですか。その道筋を指し示すような曲だと思います。それに、イントロで、聴く人を鷲掴みしたかったし。(木内)
この、4秒くらいのギターのイントロの中に、いろんな予感がワッと詰まっているので、アルバムのスタートにはピッタリですね。(近藤)

02.「揺れるラブマンのテーマ」

1〜2曲目の流れは、「光のロック」の「揺れるラブマン」が、旅に出ると宣言している感じ。これは、サンボマスター初のヒーローものです(笑)。大体、世の中って、みじめなことにさらされることの方が多いじゃないですか。もう、嫌なこというヤツらを、ラブマンと2人でブッ飛ばしにいくっていう、ドタバタ劇ですよ(笑)。僕はこの曲で、20世紀のアメリカのクラッシック映画音楽『トム&ジェリー・ショー』とか、ああいうテーマ曲みたいなものがやりたかったんですよ。(レナード・)バーンスタインみたいのをロックでやってみたくて。レコーディングでは、演奏の意思を統一するのが、一 番大変な曲でしたね。(山口)

03.「愛することのすべて」

3曲目も、勢いよく行こうと思ったんです。歌詞は、あまり嘘くさいこと言わないようにしようと思って、こういう曲になったんです。まぁ、全体的にそうだけど、僕がこういう歌詞を書くのは、満たされてないからだと思うんですね。これは、満たされてない具合が凄く良く出ている。<行かねばダメなのだ!>とか言っちゃっているしね。曲も、
疾走感というよりは、猛ダッシュしている感じです(笑)。(山口)
ビートは早いけど、ドラム叩いていて、凄く気持ち良いですね。(木内)

04.「少年エレクトリック」

これもねぇ、とにかく「ワーッ!」てやってやろうと思って作っていましたね。ギターソロも頑張りましたよ(笑)。<世の中なんか大嫌い>って言って、ギターソロに入るんですから(笑)。そういうことを、言わなきゃダメだし、やらないとダメだと思っているんです。曲の裏話的には、これは原題が、“世の中なんか大嫌い少年の、革命はひとりぼっち”だった(笑)。でも、あまりに長いということで、『少年エレクトリック』になりました(笑)。(山口)

05.「very special !!(アルバムバージョン)」

(70年代後半から80年代に、一世を風靡したニューヨークのディスコ・レーベルで、ハウスの原型を作った)サルソウルが、世の中で再注目される前に、オレらがそれを知らしめてやろうと思ってね。サルソウル・ウィズ・エクスプロイテッド、もしくは、レッド・ツェッペリンみたいな感じでやってやろうと思ったんです(笑)。思ったより、みんなサルソウルに注目してなかったですけどね(笑)。アルバムの中でも、屈指の挑戦した曲で、よくこれをシングルにしたなという感じですね(笑)。(山口)
アルバムバージョンは、ミックスを変えているんです。バスドラとスネアがガンガン来るようになっています。(木内)
アナログで、ハウスのシングルをいっぱい買っていたんで、ハウスのキックを取り入れてやろうと思ったんだけど、木内のドラムでやったら、(宇宙思想のジャズ・ミュージシャン)サン・ラみたいになっちゃった(笑)。(山口)

06.「オルフェ vs グッバイハイスクール」

この曲も、「光のロック」で言ったような、大人とかが腹立つっていうのを、より実感していただける曲です(笑)。僕は、30過ぎても、未だに良く怒られるんですよ。そういうことに対して、ふざけるなって思いもあるし(笑)。もう言いたい放題ですよね(笑)。音的には、キャッチーだな。今回は、全体的にずいぶん分かりやすい曲が多いですけどね。昔は、分かりやすくやるのが怖かった。軽く取られちゃうかなって思いもあったし。そういうのから、上手く逃れられて作れた曲ですね。(山口)

07.「グッドモーニング センチメンタルウーマン」

もうね、タイトルだけで笑っちゃうでしょ(笑)。たいてい、僕らに好意的なライターさんは、みんな良いと言ってくれる。それは、ソウルだからだと思うけど(笑)。でも、オレらにしてみると、こういう曲が一番得意だし、楽なんですよ。ソウルを新しくするのは楽。こんなのばっか聴いてたんだから(笑)。(山口)
アルバムに、ソウルっぽい曲が自然と入っているのは良いなと思っています。これは久々に、練習テイクをそのまま本番に持ってきたんです。あまりにやりすぎて、原型を忘れていた。でも、練習テイクは、自由にやっていて、それが良かったので採用したんです(笑)。(木内)
普通、そういうのは良しとされないけど、オレらは、良いものなら採用しますね(笑)。(山口)

08.「ひかりひとしずく」

僕は、これを1曲目にしても良かったかなと思っていたんです。それくらい、この曲は、聴いてくれる人、みんな気に入ってもらえると思いますよ。録音的には、8ビートをどうやって16ビートに聴かせるかとか、1番オーソドックスな形の曲でもあるので、
それをどうやって新しいものにできるかっていうとこも大変だったな。(山口)

09.「21世紀少年少女」

最初は静かな曲で、これを早くすることから、このアルバムの目指すとこが決まったんです。木内は、最後までこれを1曲目にしようって言っていたぐらいでね。まさに、このようなアルバムになるきっかけの曲ですよ。(山口)
これを作っている時に同時進行で、「光のロック」「愛することのすべて」「少年エレクトリック」が並行して作られていったんで、そういう牽引力を持った曲ですね。(木内)
歌詞は、女の子と一緒に面白くないとこからなんとか抜け出したいという内容の、振り幅がもっと出せないかなと思って作りました。僕はよく、<真白に続くこの世に 真っ暗闇の昨日に 僕と君だけじゃないか>って気分になるので、それも歌詞に入れて。とにかく僕は、満たされてないとこをブッ壊したいと思っているんですね。なんで満たされてないのか聞かれても、それは分からないんけど(笑)。(山口)

10.「春なんです」

(レゲエバンドの)アップセッターズと(フュージョンバンドの)スタッフを一緒にしたような曲ですね。キーボードの音は、(ワック・ワック・リズム・バンドのキーボーディスト)イトカンさんが弾いたものを、オレらが勝手にいじって、ナゾの音になっています(笑)。しかも、イトカンさんがフレーズをミスったとこがあまりに良いんで、そのまま入れちゃいました(笑)。しかも結婚ソングですしね。これにも裏話がありまして、マネージャーさんが歌詞を書き起してくれたんだけど、“願いが叶う教会で”ってとこを間違えて、“教会”を“協会”って書いちゃった(笑)。みうらじゅんさんの“勝手に観光協会”みたいに、“願うが叶う協会”って怪しい団体みたいな歌詞で、最初、レコード会社に提出されました(笑)。(山口)

11.「青春のベル鳴りっぱなし」

僕らは、アルバムとか関係なく、いつも曲を作っているんです。その時にオレが、“ヘビーペッティングは、おしゃれな言葉だと思うなよ”って曲を作ったんです(笑)。なんか、言葉を変えればオシャレになるって風潮あるじゃないですか。でも、やっていることは変わんねーじゃんってことを言いたくて(笑)。曲自体は、みんなで曲を合わせていく内に、ちゃんとした曲になりました。だから、「青春のベル鳴りっぱなし」と“ヘビーペッティングは、おしゃれな言葉だと思うなよ”というのは、マインド的には変わらないです(笑)。これはレコーディングが上手くいって、珍しくギターを5テイクも録ったんです。なんでかというと、あまりに弾いていて気持ち良すぎて、もっと良いのが出るぞって。まぁ、結局、最初の1テイク目が使われたんですけど(笑)。(山口)

12.「新しい朝」

僕は最初、これをシングルのカップリングにしようとしていたんです。歌詞も非常に個人的なのでね。こういう曲なら、“世の中はつらく悲しいところさ”って歌うより、全面的にポジティヴなこと言った方が良いんだろうけど、でも、木内もコンちゃんも、これで良いっていうから、そのままで行きましたね。音は、元々は、もっと明るい曲感じの曲だったけど、やってくうちに、アルバムの大フィナーレ的になって。「光のロック」が表の顔なら、これは裏ボスみたいな曲ですね。(山口)
これは、元からどんどん変わって、できた時には、最初とは、全然違うポジションを担う曲になったんですよ。(木内)

13.「I Love You(アルバムバージョン)」

2人は、最初からこれを最後にしようって言っていたんです。オレは「新しい朝」でも良いかなと思ったけど、やっぱり、アルバムも映画のように、カッコよく終われるのが良いなって思ったんです。最後に“ゲット・レディ”って言って終われるしさ。ドラマ「傷だらけの天使」もショーケンのラストとか、(北野)武さんの「キッズ・リターン」の“まだ始まってもねーよ”みたいな感じ。聴く人に、力強い足跡が残せればって気持ちですね。(山口)
アルバムバージョンでは、ミックスとマスタリングを変えたんで、さらに音が良くなりました。「光のロック」とか「新しい朝」とか、いろんな方向に感情が行くけど、最終的に明るく終わって、楽しい気分で外に一歩踏み出せる感じがしていたので、この曲は、ラストに来るべき曲だと思いましたね。(木内)
やっぱり良い曲なんでね、アルバムは良い曲で終わった方が良いですよ。それでまた、頭から聴いてもらいたいと思っています。(近藤)