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Special Interview
     
Excite 今年はちょうどソロ・デビュー 5周年ですが、このタイミングでシングル・コレクションを出そうというのは以前から考えていたことなんですか?
YUKI 実は去年「シングル・コレクションを出さない?」というお話をいただいていました。でも自分の感覚では「このタイミングでは無いな」と思ったんです。もともとシングル・コレクションに関してはいくつか夢があって。例えばセルフ・カバーにしてもいいなとか、新曲も入れたいなとか、色々やりたいと思っていたんですけど。とりあえず去年は一度お断りして『Wave』の制作に入ったんです。そして今年また新たにシングル・コレクションのお話をいただいて、そこでもまた「う〜ん、まだかな」と思ったりもしたんです。何故なら新しいものを出したいという気持ちの方が強かったから。でも「ビスケット」も「星屑サンセット」もリリース出来る状況にあったので、あまりそういう拘りも無くていいと思ったんです。もう「シングル・コレクションは5年に1枚出す」ぐらいの気持ちでいいのではないかと。それに個人的にシングル・コレクションが2枚組みになってしまうのが嫌なんです。私のシングルを数えてみたら15曲とか16曲になっていて。「これはまずいな、もう2枚組になっちゃう」って(笑)。それもあって、これからは5年に1枚シングル・コレクションを出そうと思ったんです。
Excite なるほど。そこでシングル曲をリリース順に並べて1枚にパッケージしたと。
YUKI そうです。自分の歴史の記録として出す、ということを考えると、やっぱり時系列を追って並べたほうが納得がいくし、余分なものが無くていいなと思ったので。
Excite この16曲で並び替えると曲順が難しそうですよね。
そうなんです(笑)。オリジナル・アルバムだと曲間とかも結構考えるんですけど、これはもう曲間とか関係ないかなと。この曲順に意味があるから、もうこれで大丈夫だ、って。
Excite 1曲目が「the end of shite」ですが、まさにセンセーショナルなデビューでしたね。
YUKI やりたいことをやらせて頂いて、この時のディレクターにも感謝しています。この時に勉強したことは凄く身になっていて。今のレコーディングではハードディスク・レコーディングが主体で、ディレクターもメンバーみたいになって音を一緒に作っているんですけど、でもデビュー当時は素晴らしい天才ミュージシャンたちに「宜しくお願いします!ペコリ!」という感じで、本当に毎日ヘトヘトになるまで全力でやっていたんです(笑)。とにかく作ることが面白くて、色々なことができるんじゃないか、やってやる!という気持ちが強かったですね。
Excite 「プリズム」もバンド・マジックではなくYUKIさん自身の中から生まれてくる歌のミラクルを感じた曲でした。
YUKI そうですね。「プリズム」に出会えたことが“YUKI”の運の良さだなと思いました。この曲は今でもとっても大事な曲ですし、スタッフにも当時「この曲に出会えたのはYUKIにとって、とても幸せなことだ」と言われました。
Excite では「プリズム」との出会いは、ソロとしてやっていく自信にもなりましたか?
YUKI それはまだまだずっと無いです(笑)。実はずっと無いまま続けてくんです。この時はとにかく曲を作って、自分がどこまでやれるのかということの追求ばかりしていました。なんか、全部出さなきゃ嘘というか、例えば“プリズム”でも「アンディ(・スターマー)やジョン(・フィールド)にナメられたくない!」みたいなところがあって。これはもう自信の無さの現れですよね。自信があるとそんなことはなくて、何を言われても結構平気だと思うんです。だから、これでもかというくらいしつこく「そこは違う!」とか言ったりして。でもそうすることによって相手に安心感も与えていたと思います。言われた通りにただやるだけではないほうが、相手も本気を出してくれるなと思って。
Excite あとはソロとして、誰かに流されることなく自分を出していかなきゃという意識ですよね。
YUKI それはありましたね。でも、このまま自分が好きなようにやっていって、軌道を誰も修正してくれなかったら、結構大変かもなと思いました。
Excite それは、このままでは続けて行けないなって?
YUKI そう思いましたね。アルバムを1枚作り終えた時にそれは思いました。ヘトヘトで、シンガーソングライターとしての自分の可能性を試そうと思ったのに、私はやっぱりシンガーなんだなというのも、これをやってわかったことだったから。でも、やらなければ何にもわからなかったですけどね。それで自分で曲を書くのをやめたんです。
Excite なるほど。ちなみに3枚目のシングル「66db」はYUKIさん作曲によるものですが。この曲は音響的なアプローチも含め、かなりアーティスティックに振り切れた作品ですよね。
YUKI 振り切っていますね。これも、バンドでは出来なかったことや自分の中で今までやりたかったことを、全てやりきりたかったからこそ出来た曲で。やっぱりバンドでは、私は他のメンバーの気持ちも代表して歌っている感じがしていたから、歌詞も割と女の子女の子している感じではなくて。JUDY AND MARYでは中性的な歌詞も多かったのではないかなと思っているんです。アルバムの中では女の子らしい詞もあったけど、例えば「くじら12号」だったり「Over Drive」だったりとか。だからソロではそこから離れたくて、内面的で自分と向き合うものになっていったんです。「66db」も、ソロだから出来た曲ですね。やっぱり周りの誰かと誰かの間にいるYUKIじゃないと外には向かえないみたいです。だから何か、そういう使命を与えられないと、自分でも楽しくなるような歌は歌えないんだなということに気が付いた曲でもあります。この時期は自分のことをわかって欲しい、作品を作る者として認められたいという気持ちが強かったです。
Excite そして4枚目のシングル「スタンドアップ!シスター」はメッセージ性の強い曲で、ここからセカンド・アルバム『commune』期に突入するわけですが。初のソロ・ワンマン・ツアー「PRISMIC TOUR」を経て、「自分自身に向き合って、ではなくもっと人に向かって歌いかけたい」という想いが強まったとおっしゃっていましたよね。
YUKI そうです。「スタンドアップ!シスター」はまさに突破口になった曲です。人のために歌うということと、単純に良いメロディが歌いたいと思って、セカンド・アルバムの『commune』は作っていったんです。
Excite ファースト・アルバムは衝動的、本能的でしたけど、この時期からはゆったりとしたリズムの中で歌いたいというモードになっていきますね。
YUKI そうです。4枚目のアルバム『Wave』のインタビューにも繋がると思うんですけど、私の女として生まれたバイオリズムの――バイオリズムのせいにしちゃうけど(笑)。
Excite いやでも、それは大きいですよ(笑)!
YUKI 本当に仕方がないんです。私はそっちの方に引っ張られてしまうので、自分の理屈ではどうしようもないところが凄く多くなってしまって、そこが面倒くさいところでもあり、自分でも面白いなと思うところでもあり。疲れるんだけど、付き合っていかないといけない部分なんですよね。でも逆らわないでバイオリズムの波に乗ったらこうなったんです。凄くゆっくりなものが聴きたくなって、良いメロディが歌いたくなって。そしてツアーをやった後だったから、人に歌いかけたい気持ちが強くなっていました。やっぱり「ふるえて眠れ」とか「呪い」をライヴでやるのは、自分一人は楽しいんだけど、お客さんを楽しませているかといったら、そうでもないのかもしれないという風に思ったんです、あの曲たちは。
Excite 特に「スタンドアップ!シスター」は女友達に歌いかけている歌詞というのも凄く新鮮で。
YUKI そういうことが自然とできるようになったんです。人のために歌うとか、人のために何かをするとか、バンドの時はあまり言わなかった。何故なら自分のために、自分を救うために歌っていると本当に思っていましたし、それでみんなが元気になるということが不思議でした。だけど、この時にわかったんです。私の歌を聴くことで元気になる人とか何かが見えてくる人が、自分の友達も含めて、いるということが。そこでもう、色々なことを振り切ったんです。
Excite そしてその後、約一年半ぶりのリリースとなった7枚目のシングル「Home Sweet Home」でアルバム『joy』時代に突入するんですが。
YUKI はい、ここから変わりますね。スタッフもガラリと顔ぶれが変わって、人との別れも多かったのが大きいですね。それがまた「ハローグッバイ」にも繋がっていきます。
Excite 9枚目のシングル「JOY」に関しては、「日常を踊ろう」という、これまた振り切れたコンセプトになり。
YUKI そうですね。かなり前向きな方向になりました(笑)。アルバムの制作途中から「めちゃくちゃやってやれー!!」という感じになっていくんです。何か失敗したり、後で振り返った時にダメだなと思ってもいいやと思って。それはつまり淋しかったのかもしれないですね、「もっと私を見て!」って。
Excite それでドレスのスカートの裾もどんどん広がっていき(笑)。
YUKI そうですね(笑)。この頃にやった仕事の全てに強気な感じが出ていると思います。だから穏やかではなかったですね。人にも自分にも厳しくて、全然優しくなかったと思います。
Excite でも「喜びから音楽は生まれるって信じたい」ともおっしゃっていて。
YUKI そう、だから信じたかったんです。毎日が明るく楽しいばかりではないからこそ、そういう言葉になって。「JOY」で色々な人にYUKIを知ってもらったことは大きかったです。
Excite そして『Wave』期に突入すると「TOUR “joy”」があり、日本武道館公演でも既に「長い夢」と「ドラマチック」を披露されていて。サウンド的にも大きな変化があったと思うんですが、どういう意識を持って制作に取り組んでいましたか?
YUKI この頃はディレクターとも、アルバムを1枚作ったという自信と信頼関係が出来ていたから「長い夢」のレコーディングも楽しかったですし、みんなでハイタッチする感じでした(笑)。「ドラマチック」にしても「長い夢」にしても、これはこういう方向でというのを決めて、ちゃんとそこに向かっていくことができたんです。
Excite 一方「歓びの種」は雄大なスロウ・ナンバーで。歌詞に<大きな何かに 動かされている>という部分がありますが、これがまさにアルバム『Wave』の主題にもなっていきますね。
YUKI そうです。この曲が『Wave』の始まりでもあり、終わりでもある感じなんです。この曲を頑張って作ることが、この頃の私にとってのスタートになって。<大きな何かに 動かされている>という気持ちは確かにずっと制作中にありました。それがバイオリズムというか、波なのかなと思います。
Excite ちなみに、このシングル・コレクションを4枚のアルバムで区切ると、『Wave』期の楽曲が5曲と一番多くて、曲調もバラエティ豊かですね。
YUKI それは何故かと言うと“求められて書く”ということをする時期になるからです。「こういう曲が欲しい」と言われて作って歌っている時期だから、色々な曲になっているんですよね。昔は「私が私が!」という感じだったんですけど、誰かに歌ってもらってもいいくらい普遍的な詞を書こうと思ってやってきたこともあって。
Excite なるほど。『Wave』では1曲1曲を完成させるごとに心と体を繋ぎ止めていくような、音楽に救いを求めるような作業だったということでしたが。14枚目のシングル「ふがいないや」も、やはりそういう曲だったと思うんです。
YUKI そうですね。その曲ごとにテーマがあって、何も無いところから自分のことだけを歌うということがもう無くなってきて。だから「メランコリニスタ」では夢で見た女の人のことも入っていますし、「ふがいないや」も職人的にというか――そういう感じでないと曲を作れないという状況でもあったんです。自分を音楽に投影することが辛すぎて、「歓びの種」はかなりギリギリのところで書いていたこともあって。だから「ふがいないや」では<私が生まれた朝の街 雪の中に埋もれた>と書いていますけど<私>であって<私>ではないんですよね。割とエモーショナルな感じの曲だけど他人事のように書いているんです。
Excite だけどYUKIさんと音楽の距離が離れたのかと言うと、決してそうではなくて。ソロで5年間やっていく中で、ご自身が生きることと音楽はより密接な関係になっていったと思うんです。
YUKI そうですね。知らないうちに、そうなっていましたね。だからこそ、そこに深く入り込んで迷って辛くなるのが嫌だったんです。それを、一昨年と去年はなんとかしようとしていました。
Excite これはライヴを観ていて思ったことなんですが。音楽と、自分が毎日を生きること、の距離が縮まるに連れて、どんどんステージ上でも、より素に近い佇まいになっていくアーティストの方もいると思うんですけど。YUKIさんの場合はそうではなくて、ライヴでのエンターテインメント性がどんどん高まっていったところが凄いなと思ったんですね。
YUKI でも、だからこそどんどんエンターテインメントになっていくんだという方が私の中で筋が通っているかもしれないです。つまり、作り込んでいけばいくほど、楽しめるんです。エンターテインメントしていく方が、その上で泳げるし、安定した気持ちで、冷静にステージを作ろうという気持ちになれるんです。
 
Excite なるほど。エンターテインメント性が高いほうが楽しめることに気付いたのは最近のことなんですか?
YUKI 2005年のツアー(『TOUR joy』と『ユキライブジョイ』)をやっている時にはわからなかったです。でも、その時にステージに立つことで自分が救われているということはわかっていたから、徐々にわかり始めていたのかな。ただその頃、周りには色々と言われたんです「凄いライヴやってるね、大変だね」って。でもあの時は「今このライヴをちゃんとやるべきだし、やるのが楽しくて、自分にも凄く良いんだ」と思っていました。それに、やっぱりライヴはエンターテインメントであるべきというか、そういうほうが好きです。私がもし“YUKI”を観るんだったら、そういう“YUKI”が見たいですし。好きなアーティストもそうなんです。だから「色々ぶっちゃけてるぞー!!」という感じよりも、「色々あるけどイッツ・ショータイム!」というか。ここ何年かはそういう感じでいくのかもしれないですね。
Excite 今後も期待しています!では最後に今回のシングル・コレクションに、『five-star』と名付けた意味を教えてください。
YUKI このシングル・コレクションを自分で聴いて、5年間でこれだけのことをやってこれたな、1年1年をちゃんと過ごせてきたなと思い名付けました。ミシュランの五つ星という意味もあるし、軍隊で言うと最高司令官の人がつけているのが『five‐star』なんです。自分の行くべき道を探して、その時々のベストを尽くしてこれたから「YUKI、五つ星だ!」と思いました(笑)。
(取材・文/上野三樹)
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